第一章 幽々子オブイエスタデイ
第4話 提案
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けさせたくはないのだ。
月の民は『穢れ』が自分達にとって毒となるため、極端に地上やそこの住む生き物を嫌うのが基本的な月の民の思想となってしまっているのだ。そのため豊姫は月で騒ぎを起こさせない為に地上から来た鴉を殺した理由なのだ。
だから、安易に地上から来た者達を月の都に招き入れたら、決して月の民は快く受け入れはしないだろう。魔理沙達を傷つける言動をするかも知れない。
彼女達は月の事情について知らなくてもいい。それが依姫の考えであった。
「ま、そのときは手土産一つでもあればいいや」
幸い当の魔理沙は月の都に入れない事に対して、深く考える事はなかったようだ。
「正直、本気で月の都を攻めたがっているのは、一人だけなんで」
「ちょっと」
魔理沙が話している所にレミリアが割り込んだ。
「いつまでこんな茶番劇を見てなきゃいけないのよ! さっさとそいつを倒して、月の都に向かうよ!」
レミリアは早く始めたくてうずうずしていたようだ。
「話は終わったわ。さあ、一番最初に私と戦うのは貴方かしら?」
「咲夜、あんたが行きなさい」
「はい」
依姫に聞かれ、レミリアは予想に反して先行は自分ではなく咲夜を指名したのだ。
それを見て依姫はクスクスと笑い、そしてその笑みは凍り付くかのように冷たいものとなった。
「怖じ気づいたのかしら?」
挑発的に依姫は言ってのける。
「先に貴方の能力を見て、少しでも勝率を増すためよ。でも咲夜は強いから、私の出番がないかもね」
「単純かと思ったら以外と冷静なのね」
感心しながら依姫はそう感想を口にした。
「さあ始めましょう。私の美しいナイフ捌き、残念ながら誰にも見えないかもしれないけど」
言いながら咲夜は大量の自前の銀のナイフを自分の周りに展開していた。付け入る隙を作らないという意思表示の如く。
「そう」
ニッと依姫は薄ら笑いを浮かべ、
「それでは私も月の使者のリーダーとして、最大限、美しく……」
玉兎達の渇望の眼差しの中でそう宣言した。
これが依姫のスペルカード戦デビューとなるのだった。
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