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MOONDREAMER:第一章(ノベライズ作品)
第一章 幽々子オブイエスタデイ
第4話 提案
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最大の強みだった。そしてその力をものにするために多大なる修練を今まで重ねてきたのであった。
 依姫は刀を再び持ち直した。
「奇遇ね、私も最近その力の修行をしたばかりなの」
「わかっているわ、住吉三神が貴方に呼び出されていたんだから」
 ため息をつきながら依姫は霊夢に言葉を返す。
「貴方がいろいろな神様を呼ぶと私が疑われるのよね。謀反を企んでいるんじゃないかって」
 その事は依姫の置かれている境遇にあった。八意を討伐しなければいけない立場にありながら彼女への恩義の為にそれを行わないが故に、他の月の民にあまり信用されていないからであった。
「そんなの知らないわよ、稽古は『やらされて』たんだもん──」
 霊夢が言い切るより前にザシュッと音が鳴り、祇園様の力が再び発動された。
「でも、その疑いも今日晴れる」
 依姫はふてぶてしく言った。
 そして手をこまねいている霊夢達。そこへ銃剣の刃が彼女達へ向けられた。先程の玉兎達である。
 敵を捕らえて見せたと言わんばかりに、玉兎達はしたり顔であった。依姫の力によるのにも関わらず。
(まいったぜ、まったく隙がない。
 霊夢と同じ能力と言ったって、見るからに力の差は歴然だ。
 吸血鬼は余裕の表情だが、何を考えてるかわからんし。
 咲夜も隙を窺っているが、動けそうにないし……。
 こんなのまともに闘ったら勝てるわけがないぜ。
 お得意の逃げるにしても、逃げ道(ロケット)は大破している……)
 そう魔理沙はこの危機的状況で思考を巡らせていた。
「どうした? 動いても構わないよ。祇園様の怒りに触れるけど」
 身動きすれば神の怒りに触れ身を滅ぼす事になる。霊夢達は今、牢獄に拘束されているよりも自由の利かない状況なのであった。
「自力で月に来るなんてどんな奴かと思っていたけど、おもしろくないわね」
 挑発的な台詞を依姫は吐いた。それにレミリアがカチンとくるが、手出しのしようがない状態だった。
 これで侵略者との決着が付く、依姫はそう思った。後はこの者を……。
「こ、降参だ、降参!」
 ここで言葉を切り出したのは魔理沙であった。
「今のままじゃ、こっちに勝ち目はないし、お互い大きな被害を被るだろうし」
「あら、あっけない」
 依姫は拍子抜けして言う。
「ただな、幻想郷には知的で美しい決闘ルールがあるんだ。力の強い妖怪が多い幻想郷だからこそ生まれたルールだ、それで少しの間楽しまないか?」
 切羽詰まった様子で魔理沙はそう『提案』してきた。
「……」
 しばし考え込む依姫。その様子を玉兎と妖精メイドは無言で見ていた。
「何かしら?」
 そして依姫はその提案について質問した。
「人間も妖怪も月の民もオケラも皆平等に楽しめる、この世でもっとも無駄なゲーム──スペルカード戦だ」
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