第一章 幽々子オブイエスタデイ
第3話 侵略者との邂逅
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を見せられたためか、何かが依姫の中で少し弾けたようだ。
続いて彼女は霊夢に向けていた刀を自分の元へ引き戻すと、おもむろにそれを──地面へと突き刺したのだ。
怒りで気でも触れてそのような事をしたのだろうか? いや、そうではない事は次の瞬間わかった。
「「!!」」
驚愕の表情を浮かべる霊夢と魔理沙。何故なら彼女達の足下から無数の刃が、白骨化した動物の肋骨のように突き出していたからである。
言葉を無くす二人。
「女神を閉じこめる……祇園様の力」
凍り付くような笑みを浮かべながら、依姫は得意気に言った。
祇園様……かつて依姫が修練の為に呼び出して、戦った『神』である。その時の彼は屈強な肉体を以て現れたが、その力は膂力だけに留まりはしないのだった。
「人間相手に祇園様の力を借りるまでもなかったか。住吉様を呼び出せるというからどれほどのものかと思ったけど」
尊大な物言いをする依姫。だが、単に威張っているのではなかった。その言葉の中には、確かに神への敬意が含まれていたのだ。
「依姫様!?」
そこへ玉兎が声を荒げて駆けつけてきた。そして事のあらましを依姫に伝える。
「な!! なんですって」
依姫は表情を変えて驚く。
「あんな小娘相手に、貴方たちは何をやってい──」
「誰が小娘よ」
依姫の言葉は何者かに遮られた。
「殺されたいのかい?」
──先程の吸血鬼、レミリア・スカーレットによって。傍らには咲夜もいる。
「月の兎はどうしたのかしら」
「全部のしてきたよ。後はお前だけだ」
依姫の問いにレミリアはしれっと答える。
しばし間があく。
「真相は?」
引っかかるものを感じた依姫は玉兎に再度聞いた。
「怖じ気づいてみんな隠れました」
そう言うと同時に草むらからがさがさと音がして──苦笑いする玉兎達が現れたのだった。
「圧倒的に実戦経験不足……」
この無情な事実に依姫は頭を抱えるしかなかった。
「ね」
と言って依姫は手をかざし、レミリアへと向け何かをしようとした。
が、その一部始終を見ていた咲夜は許しはしなかった。
彼女が左手を横にかざすと、時計のような紋様が現れたと思ったのも束の間──。
「ぐっ!」
思わずくぐもったうめき声を漏らす依姫。そして、その背後には彼女を羽交い締めにする咲夜の姿があった。
「いつの間に!?」
これに驚愕する依姫。玉兎達も度肝を抜かれていた。
「貴方、手癖が悪そうだったから」
背後から咲夜が囁いた。そう言いながら、彼女は依姫が祇園様の力を発動するために地面に刺した刀を蹴ったのだ。ずるっと地面から抜ける刀。
すると先程まで霊夢と魔理沙の足下から生えていた刃は吸い込まれるように地面へと消えていった。
二人はほっと一息ついた。
「貴方た
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