第一章 幽々子オブイエスタデイ
第3話 侵略者との邂逅
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。何故人間が関係者が人外ばかりの環境で渡り合っていられるのかは、彼女に秘められた『力』にあるのだ。
メイド長は森の桃の木を見て呟いた。
「……月の民は桃しか食べないのかしら」
「咲夜様! 大変です!」
そこに血相を変えて妖精メイドの一人がメイド長──咲夜を呼び掛けた。
「月の兵士たちが!!」
◇ ◇ ◇
豊かの海の波打ち際で、二人の少女が呆然としていた。
一人は霧雨魔理沙、人間の魔法使いである。金髪で片側をおさげにしていて、黒白のエプロンドレスに身を包んでいる。
もう一人は博麗霊夢、巫女である……のだが。
頭には大きなフリル付きの赤いリボンをしている。が、特筆すべきはその服装であろう。
上半身にはノースリーブの赤い服に、下半身にはとても袴とは呼べないような赤いスカートを履き、腕には本来巫女装束とは一体になっている筈の『袖』が本体とは分離した状態で腕に装着されているのだ。
そのため、腋部分だけが露出されているという珍妙極まりないものとなっていた。
この二人と先程のレミリアと咲夜は、実は地上に帰る手段を失っていたのだ。『月ロケット』という代物を作り月まで来たのだが、到着した際に海に墜落してしまい大破してしまったのだ。──最も咲夜はその事を承知だったようだが。
これら四人(+三人)が、月を夢みてやってきた招かれざる客なのである。
「考えててもしょうがない。釣りでも始めようかな」
ここで霊夢が口を開いた。
「お、いい考えだ。海には大きな魚が棲んでいるというからな」
はしゃぐ魔理沙。実は彼女達が住む場所は特殊で、海のない世界なのでその興奮と期待は一入なのであった。
「で、道具はあるかしら」
対して霊夢は冷静であった。だが魔理沙の熱はそれしきの事では冷め上がらない。
「そんなもん、手づかみでいいんだよ」
「手づかみで釣りって言っていいのかな」
やはり霊夢は冷静であった。
「残念ね。豊かの海には何も棲んでいないわ」
依姫がそんなやり取りをしている二人の前に現れて言った。──手には刀を持ち、臨戦態勢で。
「豊かの海だけではない。月の海には生き物は棲んでいない。生命の海は穢れの海なのです」
依姫は言いながら刀を霊夢へと向けていた。
「お、おいおい。物騒だなその長物」
そんな殺伐とした光景が生まれてしまったのを目の当たりにして、魔理沙は血相を変えた。
「……」
その状態で依姫に見つめられ、無言になる魔理沙。
そして依姫は口を開いた。
「住吉三神を呼び出していたのは──お前」
言いながら再び剣先を霊夢へと向ける。
「ええ」
そう言って霊夢は刀を向けられながらも、臆する事なくその場でふんぞり返って見せた。
「ふっ」
そんなふてぶてしい態度
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