第一章 幽々子オブイエスタデイ
第0話 神の依代
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も姿が彼女に吸い込まれるようにしてかき消えていったのだ。
その瞬間、彼女の刀身が輝きを増していったのである。──これは比喩ではなく本当に刀から光が溢れ輝き始めたのだ。
そして彼女は図らずとも隙を見せてしまった祇園様の懐めがけて、その『光の剣』を打ち放った。
シャリーンと形容し難い、一番近い物に例えるならかき氷が削り出されるような音を奏でるながらその光の刃は祇園様へと夜空に浮かぶ彗星の如く美しい軌道を残しながら向かっていったのだ。
それは遂に祇園様のがら空きとなった胴を捉えたのである。そしてガラスが割れるような破裂音のような激しい、それでいながら決して耳障りでなく神々しい音と、真夜中に当てられるスポットライトのように目を引くようでいてギラギラしていない優しい光が辺りを支配したのだった。
そして光は収まっていくと、そこにはしっかりと直立した彼女と、地面に膝を付いた祇園様が存在していた。
──試合の決着は付いたのだ、彼女の勝利という形で。
◇ ◇ ◇
「ありがとうございました、祇園様、天宇受売命、天津甕星」
そう言って彼女は自分の修練に携わってくれた神々を労って解放させたのである。
──これが『神霊の依り憑く月の姫』たる『綿月依姫』の修行の一連の流れなのであった。
そして今回も神々へと感謝の意を忘れないのであった。何故なら彼女──依姫が今の自分があるのは神霊の存在抜きには有り得ないからである。
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