青葉、ねね、ほたる編
本編
俺と美術部と夏合宿 後編
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よいしょっと、イワナか」
俺は一人のんびりと釣りをしながら時間を過ごしている。釣り道具を旅館の人に借りている。今はイワナとアジが釣れていて、釣った魚達は旅館の板前さんに捌いて貰えるようになっている。
午前までは青葉と星川の絵の試験の勉強をしていて、午後からは普通の試験の勉強をしている。
俺はイーグルジャンプに内定を貰っているから勉強はしなくてもいい、もう3年の夏のラストのテストも終わってるからな。
「りくっち釣れてる?」
「………なんだねねか。釣れてる」
「わぁー本当だ、たくさん釣れてるー」
すると勉強している筈のねねが俺の所に来た。
魚の入ったバケツの中を興味津々に見ていた。だけど、何処か悩んでいるように見える。勉強している筈のねねがここに居るのは何かあったんだろうな、ただサボっているだけのかのうせいもあるがな。
「それで、どうしたんだ。何か悩み事か?」
「えっ、どうして分かったの!?」
「何年も幼馴染やっていたら分かるよ、お前の顔に悩んでますって書いてある事くらい」
「うぅ、顔に出てた」
するとねねは、ばつの悪そうな顔をしてから顔を下げた。本当に悩んでいるようだ、ただサボっている訳じゃないんだな。
そしてねねは俺の隣に座って話しだした。
「私達って高校を卒業したら離れ離れになるじゃん」
「そうだな。俺は就職だから確実にお前達と違う道に進むからな」
「りくっち就職だったの!?」
「この前話したんだが、まぁ今はその事は置いておいて話を進めてくれ」
ねねは驚いた顔をして聞き返してきた。
俺の事は今はどうでも良かったから話を戻したが、ねねは何か不満そうな顔をしていた。
「うぅ〜。私はずっとこのままがいい。ずっとこのままあおっちやほたるんやりくっちと過ごしていたい。りくっちも今からでも!」
「悪いけどそれは出来ない」
俺はねねが話終わる前に返事をだした。
ねねはすごく悲しそうな表情になり目には涙が溜まっていた。
「りくっちは私達の事嫌いなんだ」
「何故そうなるんだ」
「だって、私達と一緒に居たくないって!」
「そんな事言ってない」
「言ったもん!!」
ねねは勢いよく立ち上がってから涙をポロポロっと流しながら強く言った。コイツの考えている事は分かる。永遠がずっと続けばいい、ずっと四人仲良く一緒に居たいって事を。
「俺はお前達と同じ大学には行かないって言ったんだ。それに青葉と星川は美大に行くだろう。お前もその美大に行くつもりか?」
「それは……行けないけど」
「それに同じ大学に行って一緒に居ないとならないって考えじたい間違えだ。一緒に居られなくっても友達のままで居られるだろ」
「友達」
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