第二百六話 冬の進軍その二
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「分厚い毛皮が中にあるものを用意したし」
「あと手袋もな」
「そうそう、それも用意したから」
「寒さにもな」
「充分に耐えられるよ」
「冬での戦もな」
「寒さは大敵だからね」
淳二はさらに言った。
「軍にとっては」
「本当にそうだよな」
「ナポレオンはあんまりだったから」
彼のロシア遠征はというのだ。
「もうね」
「あれはな」
「確かに凄い人だったよ」
淳二もこのことは認めた。
「英雄と言ってね」
「よかったな」
「うん、けれどね」
「英雄って言っても人間だからな」
久志はナポレオンもそれだと指摘した。
「やっぱりな」
「だからね」
「どうしても失敗もあるな」
「うん、それでね」
「あの遠征はか」
そのロシア遠征はというのだ。
「反面教師にすべきか」
「そう、英雄の失態としてね」
「大軍で攻めたけれどな」
「寒さに負けた戦いだね」
「それが大きいな」
「ロシアの広さとゲリラ戦術、焦土戦術も問題だったけれどね」
そうした敵軍以外の要素が大きかったのだ。
「ナポレオンは敵軍には強かったけれど」
「そうしたものとは戦えなかったってことだな」
「ロシア軍は知っていたよ」
そして打ち破ってきた、ロシア軍もまた他の国の軍隊と同じくナポレオンには散々に敗れてきたのだ。
「けれどね」
「ロシアの国土はか」
「知らなくて焦土戦術もね」
「知らなかったな」
「そしてゲリラには」
ロシアではコサックだったが戦術は同じだというのだ。
「スペインでもそうだったし」
「弱かったな」
「だって正々堂々と戦わないから」
それでというのだ。
「敵軍と戦うんじゃないから」
「戦争でもな」
「弱いこともね」
「当然だな」
「コサックは機動力使って奇襲仕掛けてな」
美奈代も言ってきた。
「それでさっさと逃げる」
「それの繰り返しだよな」
「補給路襲ったりな」
そうしたこともしてというのだ。
「敵をちくりちくりとな」
「攻めていってな」
「ダメージを与えていったからな」
「馬に川だな」
「うち等も今はコサック持ってるしな」
「コサック騎兵な」
「ボルガ川流域からウィーンの方に向かわせてる」
まさにその彼等をというのだ。
「あの辺りでは水路を使ってな」
「川を行き来してな」
「他の地域では馬を使う」
「それで機動力あるな」
「そのコサックにや」
「ナポレオンはやられたな」
「そのゲリラ戦術でな」
神出鬼没そして一撃離脱を得意とする彼等のその戦術にだ。
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