1部 艶やかな天使
6話 この世の果てへ
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丈夫なのかと思うエリオット。確かにまだ戦争中ではなく、それの準備中という国だ。しかし余所者の入国はかなり厳しく審査されている。
この女性をどういう風に説明するか。ただの観光客か、それとも勉学の為のホームステイと説明するか。留学の為にジオン公国にきたという説明すればいいか。入国審査とビザさえ取得出来れば何とかなるかな。
ジオン公国も国籍を取得できない人間がかなりいるのが現状だ。そして、首都ズムシティはかなりのテロや暴力事件が頻発する。まるでニューヨークのスラム街のように。
拳銃さえも平気で使われる場所だ。その他にナイフ、暴力、強姦、女性は気をつけた方がいい。
とりあえず、まずは入国審査に通る事が必要だな。話はそれからだった。
「ここがサイド3、ジオン公国ですか?」
「そういうこと」
エリオットの手には大きなバッグが握られている。水菜も大きなバッグ1つでここにきた。
(そうだ。ここは1つ、ジオン公国軍の士官の立場を利用させて貰うか)
「水菜、ちょっと女子トイレで待っていて貰えるかな。私もトイレ行きたいし」
「は、はい」
エリオットは男子トイレに向かうと大きなバッグに潜ませたジオン公国軍の制服に着替える。この姿になってしまえばかなり融通が利く。公国軍士官の立場は色々メリットもあるからだ。
「この制服は派手なぶん、人目にもつきやすいのが長所かな」
女子トイレの入口で待つ水菜は異国の地に居るという実感がまだわかない。しかし、何処か緊張感は感じる。
港にはジオン軍人の姿も見受けられる。
そこで待つこと10分。
エリオットが声の雰囲気を変えて水菜に声をかけた。
「待たせた」
「え…!?」
目の前にはジオン公国軍の少佐待遇の制服を着た男性がいた。普通のスーツから軍服にするだけで様変わりしている。
でも、似合う。暗い緑色の制服に、上着に飾られたマントが腰辺りまで覆っている。黒の表地に裏側は朱色に近い赤。
ベルトを巻かれた腰がいやに細く感じる。ズボンも暗い緑で長靴を履いている。
これがこの人のもう1つの姿。
ジオン公国軍技術少佐のエリオット・レム少佐なんだ。
水菜の呆然と魅入る姿に彼は気をしっかり持つよう促す。
「気をしっかり持ってくれ。ジオン公国軍には私よりも色気のある士官など目白押しだからね。とりあえず私の側にいなさい。すぐに話はつくから」
「は、はい」
入国審査が始まる。
パスポートを見せて、顔を確認され、荷物検査を受けた。彼女は別段怪しいところはない旅行者。
とりあえず入国審査は通った。
エリオットはジオン公国軍の制服と軍籍番号が載っているパスポートであっさり通る。
入国審査を受けた事で否が応でも異国へ来たという実感を抱
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