暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
G編
第83話:悪夢の芽吹き
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どうなるんだよ!? なぁ了子さん!?」

 縋る様に了子に詰め寄る奏を、颯人と翼が宥める。そんな彼女に、了子は心底言い辛そうに顔を歪めつつ残酷な真実を告げた。

「…………恐らく、と言うか確実に……死ぬ事になるでしょうね」

『ッ!?!?』

 了子の言葉にその場に居た全員に衝撃が走った。取り分け、奏の顔に浮かんだ絶望の色は濃い。仕方ないだろう。彼女にとって、その原因は他ならぬ自分にあるとしか思えなかったのだから。

 足から力が抜け、酔っ払ったようにふら付いて壁に手をつく奏を颯人が支える。

「そんな……響……響が…………」
「奏……」

 こればっかりは颯人にも何も言えなかった。奏の所為ではないと言うのは簡単だ。だがあの場で響をノイズから守ろうとしたのは奏であり、響が負傷したのは奏の力が及ばなかったからなのも事実。少なくとも奏にとってはそれが真実であり、全ての責任は自分にあると言うのが彼女の認識だった。

 故に、了子の口から知らされた事実は奏の心を大きく抉った。

 責任感と罪悪感に押し潰されそうになり、その場に崩れ落ちそうな奏に痛ましい目を向けた颯人は何か解決策が無いのかとアルドに訊ねた。この場に彼女が居るという事は、彼女にも何か力に慣れることがあったのだろう。それに賭けた。

「何か……何か方法は無いのかよ?」
「……一個だけ方法があります。『神獣鏡(シェンショウジン)』と言う聖遺物には聖遺物の力を分解する能力があります。これを使えば、響さんの体を傷付ける事無くガングニールだけを除去する事も……」
「ただ二課はそれを所持していないわ。どこにあるのかも、今は謎よ」

 つまり響を救う事は実質不可能であるという事。その事実に颯人も辛そうに顔を顰める。装者達の顔には絶望が浮かび、奏に至っては今度こそその場に崩れ落ちた。床に膝をつき、涙を流して力無く床を殴り付ける。

「ち……く、しょう……チクショウッ!? ゴメン、響……ゴメン――!?」

 己の無力さを悔やみ、只管響に謝罪の言葉を告げる奏。颯人はそんな彼女の肩に優しく手を掛ける事しか出来ず、他の者達も見ている事しか出来なかった。




***




 自分の所為で響の身に命の危険が迫っている。それは同時に、奏の為に命を懸けた颯人の姿が重なり彼が抱えている爆弾の事を考えさせるのに十分であった。

――響はアタシのガングニールの欠片の所為で体を蝕まれて……颯人はアタシが戦う時の負担の所為で体がボロボロになって《《ファントムになる危険が増してる》》――

 グレムリン――ソラと出会った時の事を忘れている筈の奏であったが、颯人の身に迫っている危機に関しては心に鮮明に刻まれていた。

 自分の所為で、自分の大切な者達が
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