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艶やかな天使の血族
1部 艶やかな天使
4話 裏切り者の天使の帰郷
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「貴様が話しても詭弁にしか聞こえないな。本当は宇宙へ捨てられた人類の癖に」
「お前の傲慢な言葉はまさに地球であぐらをかいて、地球を壊す旧い人類そのままの言葉だね。ミカエルらしい。清々するよ。やはりお前らの一家とは相入れないようだな」

 場の空気がだんだんと重く冷たくなっていく。それを察したミカエルとエリオットの兄弟は一時休戦をして、別室で話そうとだけ言って、お互いにそっぽを向く。
 従兄弟の仲は最悪だ。それもただの仲違いではなくて、まさにアースノイドとスペースノイドの意見の不一致というレベルだった。他のアズラエルやガブリエル、ラジエルも青ざめた表情を浮かべていた。

「アズラエル、ガブリエル、ラジエル、お前達も後で部屋に来い。この恥知らずの兄貴を説得できるのはお前達だけだ」
「恥知らず?そんなものになった覚えは無いよ」

 エリオットさんも言い返す。独特の棘のある言葉で対抗する。漆黒に近いスーツに包まれた腕を組んだ。不機嫌そうに。
 本当にこの従兄弟とは意見が違うだけでなく、本心から違うんだ。
 ミカエルがこっちを見る。

「部屋から逃げ出すつもりだったのか?君は私の欲望を黙って鎮めていればいいんだよ」

 恐ろしい威圧的な言葉だった。
 だけど、ここで、エリオットさんが助け船を出してくれる。

「水菜さんを自分自身の欲望のはけ口にしているのか?そんなにしたいなら娼婦とすればいい。彼女らは喜んで君に抱かれるよ。レミリア製薬の社長が大金を積んで抱いてくれたってな」
「バカバカしい。あんな女を抱いて征服感も感じない」
「なら…そこの女性を抱いて感じるのか?心地よい征服感とやらは。そうして力を誇示したいだけか。俺は女を自由に弄ぶ権利を持っているんだ、と。とんだ勘違い男だよ。お前は」

 ここまで自らの従兄弟に辛辣な意見を言う兄貴もそうはいない。一切の遠慮なく話しているんだ。

「あまり話すとそこにいる水菜さんを悪い気持ちにさせるだけだ。言いたい事は言わせて貰った」

 私はまだその場に突っ立っていた。言い争いに呆然としていた。
 エリオットさんは近寄ると、こう言って、話に誘ってくれた。

「後でミカエルと何があったのか聞かせてくれないかな?何か出来る事があるかも知れないから」

 身体が近くまで来たので心地よい香りがきた。これは…ゼラニウムだ。ローズマリーも仄かに香る。珍しい香水だな…と思った。彼は微笑み、そしてカツオのたたきに舌鼓を打つ。

「美味しいね。やっぱりライアさんの料理は落ち着くよ」
「エリオット坊ちゃまも、今では渋い旦那様。時代が変わると人も変わるんだねぇ」
「しみじみして……そんな事はないよ。ジオン公国はまだまだ旧世紀と何ら変わらないさ……」

 ふと、エリオットさんは
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