赤い眼差し
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る。
そんなありえない思考が、バングレイを支配していく。
「ば、バリ……ありえねえ……」
折れた膝が上がらない。もう一度ウィザードに攻めようとも、足がその機能を放棄していた。
「おや? マスターよ」
その声は、エンジェルのものだった。傍観を決め込んでいたが、何を思ったのか、バングレイのもとへ歩いてきていた。
「どうした? ずいぶん苦戦しているようではないか」
すぐ背後からエンジェルの声。バングレイは右手をエンジェルを向くことなく差し出した。
「……バリッ……こんな星の下等生物ごときに……おいエンジェル、手を貸せ」
バングレイはそう告げる。
そうして、今度はエンジェルの二人がかりで、あのウィザードを狩る。そうすれば、さすがに勝ち目はあるまい。
そんな思考があった。
右手に激しい痛みを感じるまでは。
「は?」
バングレイは、その原因がわからず、右手を眼前に持ってくる。記憶を読み取る能力と令呪の二つを備える右手は、肘から無くなっていた。
「腕……腕……俺の腕ええええええええええええ!?」
切り落とされた。
誰に?
その答えは、一人しかいない。
背後に立った、エンジェルだった。
「エンジェル、てめえ何しやがる! 俺を……裏切ったのか!?」
「何を言っている。我がマスターよ。貴様とは……仲間ではなく、目的が同じだっただけだろう?」
そういいながら、エンジェルは手に持った剣で立ち上がったバングレイを切り裂く。天使の力を秘めた剣は、バングレイの体に大きなダメージを与えた。
「てめえ……!」
全身から煙が上がる。ウィザードのダメージに続き、エンジェルの攻撃がさらに大きくのしかかる。
エンジェルは続ける。
「貴様がムーをコントロールするより、私が行った方が効率がいい」
「ふざけんな! バリ、令呪をつかって……ハッ!」
さらに目を開くバングレイ。それを見たエンジェルは、切り落とした腕を持ち上げながらせせら笑う。
「令呪はここにあるぞ? マスター」
ぶらんと垂れ下がる、自らの右腕。令呪はそこに、何の意味のないオブジェとして刻まれていた。
「エンジェル……エンジェルううううううううううう_____
すでに、バングレイの発声器官はない。
その六つの目と無数の管で繋がった首は、すでにエンジェルの剣により切断されていたのだ。
バングレイの六つの目は、勝ち誇った笑みを浮かべるエンジェル、そしてウィザードを最後に、ムーの祭壇から転げ落ちていった。
その最期の瞬間、バングレイの耳はエンジェルの言葉を確かに捉えた。
「計画通り…
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