赤い眼差し
[4/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
だから。なぜ生身の人間であるウィザードにここまで押されるのかが分からなかった。
だから。
「お前は、俺に狩られるだけの存在なんだよ!」
バングレイは、手にバリブレイドを持ち、鎌との二刀流で向かってきた。
だが、それがいけなかった。
下等生物と決めつけ、一度とはいえ追い詰められた。それが、歴戦の狩人であるバングレイの判断を鈍らせた。
力強く振り下ろされた、銀の刃。そして続く、銀の横薙ぎ。その二度の連撃により、バリブレイドと左手の鎌は粉々に砕け散っていった。
「バリ……ッ!?」
驚きのあまり、目を見開くバングレイ。さらに、ウィザードの蹴りがバングレイに炸裂。
痛くも痒くもないはずの肉弾。だが、それはバングレイを大きく吹き飛ばし、床をバウンド。そのまま壁にクレーターを作った。
「ば、バカな……バリあり得ねえ……! 俺が、こんな下等生物に……!」
静かに、ウィザードは銀の剣、その手の形をしたパーツを開く。
『キャモナスラッシュシェイクハンド』
アップテンポの詠唱とともに、彼は指輪を手のオブジェにかざす。
『エクステンド プリーズ』
伸縮の魔法を得た銀の剣は、蛇腹剣のごとくしなり、遠距離のバングレイの体を次々と引き裂く。
「ぐああああああああああ!」
想像を絶する痛みに、バングレイは悲鳴を上げる。
だが、すでにその目から人の心を捨て去ったハルトには通じなかった。
容赦なく銀の鞭は、バングレイの体を切り裂いていく。
「や、やめろ……やめろおおおおおおお!」
バングレイは、その六つの目を大きく開いて訴える。
だが、すでにウィザードの攻撃は次の一手に移っていた。
蛇腹剣で、バングレイの体を巻き上げる。銀の刃が、あたかも生き物のように自らの体を縛り上げる。
「ば、……バリ……」
『キャモナスラッシュシェイクハンド キャモナスラッシュシェイクハンド』
「!」
再び流れたその詠唱に、バングレイの背筋が凍る。
「お、おいおい、バリふざけんな! 俺は狩る……狩る側の生物なんだ!」
『フレイム スラッシュストライク』
その魔法は、希望。
魔力の炎が、銀を伝ってバングレイへ走る。バングレイの体に巻き付く銀の剣は導火線となる。
「ぎゃああああああああああああああ!」
自らの肉が焼ける音。そして。
「終わりだ……バングレイ!」
魔法使いの目の、殺意。
巻き付いた銀の剣を一気に引き抜く。それは、炎の刃がバングレイの全身のいたるところを走ることを意味する。
「あ……が……」
狩る側の存在である自分が、狩られる恐怖に苛まれ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ