赤い眼差し
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場合じゃねえぞ!」
だが、打ちひしがれる時間をバングレイが与えてくれるはずもない。
バングレイは一瞬でビーストとリゲルを蹴散らし、ハルトを蹴り倒す。
倒れたハルトへ、バングレイがさらに斬りつけてくる。
ハルトは慌ててソードガンで二本の刃を防いだ。
「ぐっ……」
生身のハルトでは、バングレイには力が遠く及ばない。
鍔迫り合いなど、最初からハルトに勝ち目はなかった。徐々に押されていった。
「バリバリバリバリ……お前もここまでのようだなウィザード」
「バングレイ……っ!」
どんどん刃の交点がハルトの首に近づいてくる。ハルトの額に冷や汗が走る。
「どうしたどうした? ウィザードよぉ!? 変身してたときはバリ歯応えがあったのに、もう骨なしか?」
「変身できない状況で挑んできてよく言うよ……! この状況で俺を倒しても、狩りのしがいがないんじゃないの?」
「バリッ! お前はとっくに倒してるからな? もう狩ったも同然なんだよ! あのクリスマスの日になあ!」
刃がハルトの首に食い込む。痛みがハルトの脳をかき乱す。
「お前が俺のムー最初の獲物だ。記念にその首を、祭壇に飾ってやるぜ!」
「悪趣味だな……! お前の狩りを永遠に眺めてろってこと……?」
「ああ。いいだろ?」
「お断りだね!」
ハルトは、バングレイの腹に蹴りを入れた。だが、人類よりはるかに進化した宇宙人の体には、ひ弱なハルトの蹴りなど通じない。
「バリバリ。どうした? バリ下等生物が!」
「っ……」
ハルトは唇を噛む。
だが、バングレイは続けた。
「お前も! ベルセルクも! 聖杯戦争の参加者も! この星の人間全員も! この俺の獲物以上の価値なんてねえんだよ!」
___ハルトの目が、赤く暁光する___
バングレイは、分からなかった。
なぜ自身が宙に浮いているのか。
「……バリ?」
目下には、追い詰めていたはずのウィザードが蹴りのポーズを取っている。地べたに伏せさせた下等生物に蹴り飛ばされたということが証明されていた。
そのまま、抵抗もなく祭壇のフロアに落ちるバングレイ。地面への衝撃が跳ね返り、全身の器官が震える。
「痛え……」
クラクラする体を制御しながら、バングレイはウィザードを睨む。
「バリあり得ねえ……何だ、今の……!?」
これまであらゆる星で狩りをしてくるにあたって、その星の生物については当然調査してきた。これまで数多くのこの星について調べた結果、この星の知的生命体は勝てないことがすでに判明している。
ウィザードのような特異な能力を持つ場合を除き、バングレイの虐殺ができないはずがなかった。
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