艦娘と提督とスイーツと・68
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大工でな。ガキの頃からなんやかんやと手伝わされてたんだ」
お陰で小中学校の間に家を建てる一通りの作業は出来るようになった。けど親父と反りが合わなかった俺は高校は別の分野に進み、どこをどう間違ったのか今は海軍で提督やってる。ホント、人生ってのは何が起こるか解らない。
「だから妙にキッチンがしっかりとした物が付いてるんですか……」
「何だよ、飯は重要だぞ?」
今寝転がってる縁側のある和室。囲炉裏もあるちょっと古民家風の造りなんだが、隣にあるキッチンは最新式のアイランドキッチンを入れた。最初は雰囲気も考えて土間とかにするか?と妖精さん達とも盛り上がったんだが、結局誰が使いこなせるんだ?という話になってキッチンは新しい物に落ち着いた。
「それにここは、俺の引退後にゃあホテルリゾートの離れ的な施設になる予定だからな。結構しっかりとした造りにしたんだよ」
と、自慢気に語ってみせた。しかし間宮はポカンとした表情だ、口をあんぐりと空けたまま正にポカーンとした顔、って奴だ。
「ん?どうした」
「……私、聞いてません」
「へっ?」
「私、聞いてませんよそんな話!」
「そ、そうだっけか?」
俺の引退後のプラン……既に買い上げてあるこの鎮守府の土地・建物を改装してリゾートにするって計画には、レストランや厨房を仕切れる人材が不可欠。脳内の計画では間宮に伊良湖、鳳翔に大鯨等、料理上手な連中はスタッフとしての雇用が確定していたが……こいつぁうっかりだ。
「いやぁ、もう少し詳細な計画が出来てから話そうと思ってたんだよ。な?機嫌直してくれよ」
「知りませんっ!もう」
間宮は膨れっ面のままだ。余程教えてもらっていなかった事がショックだったらしい。そもそも、俺の思い描いているリゾート地の基本コンセプトは『艦娘に会えて触れ合えるリゾート』。基本的に拒否されなければ鎮守府の所属艦娘はスタッフとして雇用する予定なんだが。
「なぁ、頼むよ間宮。お前居ないと計画が大きく狂っちまうんだよ」
「……もう、しょうがない人ですねぇ」
そう言って頬を染めながら、頭を撫でて来る間宮。撫でられる手が止まらない上に、顔が近付いて来て唇が重なる。それと同時にヌルリと唇の隙間を縫って舌が侵入してくる。だが、俺に拒否せずあっさりと受け入れて逆に迎え入れる様に舌を絡ませる。たっぷりと粘膜の交換を終えて唇が離れると、離れ難いとでも言うように唾液の糸が繋がる。その顔は満足げで、どうやら仲直りのキスのつもりらしい。
「私のキスはどうでしたか?」
「甘ったるいバニラ風味で虫歯になりそうだ」
そんな風に冗談めかして言ったら、ペチッと軽くビンタを貰った。
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