激槍復活
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をあらゆる方向へ向ける。無論、発射口からはランダムに紫の光線が放たれ、ムーの祭壇を破壊していく。
傍観していたエンジェルも翼を生やして回避、バングレイも被弾をさける。
「がははは! コイツはすげえ! バリ大した戦力だ!」
自らに牙を向けているにもかかわらず、バングレイは歓喜の声を上げた。
「おい! お前の邪魔をするのはアイツらだぜ? アイツらさえいなくなれば、お前はバリそこの石像と永遠にいられるぜ?」
バングレイの言葉に、未来は止まった。やがて、機械のようにゆっくりと、未来はハルトたちを睨んだ。
「あなたたちを倒せば……響といられる……」
未来のゴーグルが開く。彼女のハイライトのない眼差しが、ハルトたちを睨む。
そして。
「……だったら……私と響のために……いなくなって」
未来の冷たい声が、響いた。
___私が困ってても助けに来てくれるのかしら?___
___そんなの当たり前だよ! 未来だったら超特急で行くよ!___
___じゃあー私が誰かを困らせてたら響はどうするの?___
未来を失って、どれだけの期間だったかは覚えていない。
改造執刀医、シェム・ハを倒した英雄として、世間は響を讃えた。響だけではなく、トップアイドルである風鳴翼、マリア・カデンツァヴナ・イヴはあらゆる番組に引っ張りだこになり、雪音クリスはあらゆる関係組織からスカウトが来て、暁切歌と月読調を欲しがる者も数知れず。エルフナインも、引く手あまた。
それは、響もまた例外ではなかった。
称賛。歓声。拍手。喝采。そんなものがあればあるほど、響は自らの孤独を痛感していった。
そして。願ってしまった。
「もう一度……未来に……会いたい……」
そうして、その日は。クリスの卒業式だったか。
未来と過ごした部屋で自分を見つけた翼とクリスがどんな顔をしていたのか、分からない。
悪夢に苛まれた挙句に、自ら命を絶った自分の姿を……。
胸に突き刺さったダイスサーベルが回転を続ける。
すると、その剣先より徐々にビーストの魔力が流れてきた。
それは、自らの体内に眠る、歌の残滓と共鳴し。
黄色の輝きを、石像の表皮の下で作り上げる。
響の石像に、少しずつヒビが入っていく。石の甲殻は、あたかも明かりを包む壊れかけの紙筒のように、一つ、また一つと破れていった。
「殺れ!」
バングレイの処刑宣告が、未来へ届く。
これまでの中でもっとも巨大な鏡が、ハルトたちを捉えていた。
それは、未来を円形で包むように配置される。その中で、未来は手にした扇子を掲げる。
そして、機械的に告げた。
「久遠」
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