第十二章 真紅の魔道着
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よな」
「えー、な、なんでそうなるの! じゃ、じゃあ、じゃあ、わたしが勝ったら、カズミちゃんが食べてよね」
「ということは、その勝負受けるってこと?」
「受けないよ!」
二人がなんだか久し振りに、このようなくだらない会話をしていると、不意に透明ドアがしゅいと音を立てて開き、部屋の中に須黒美里先生が入ってきた。
「お待たせ。入館手続きはすぐ終わったんだけど、久々だから挨拶周りに時間が掛かっちゃって。……あれ、吉岡さん、この画面、なんか最新装置での計測結果のようですけど、見せて頂いて問題ないんですか?」
「ああ、構いませんよ。どうせ来年のうちには完備されるものですし。それにフィードバックシステムは、メンシュヴェルトさんが六割開発して九割メンテしてるものですから。我々の方が、肩を小さくして、ここで管理運用のノウハウを、学ばせて頂いているくらいで」
「そうなんですね。それにしても……」
須黒先生は、眼鏡のフレームをつまみながら、まじまじと画面を見ていたが、アサキの方を向くと真顔でぼそり、
「令堂さん、なんだか気持ちの悪い成長曲線ね」
「先生までそんなこというんですかあ?」
アサキは、情けなさ恥ずかしさに、なんだか泣きそうな顔になってしまっている。
でも、アサキは健気な女の子、泣いちゃうとさっきのカズミの言葉を否定出来なくなってしまうので、ぐっと心に飲み込んだ。
「なんであれ、成長しているのならいいことじゃないですか」
「そうね。ごめんね」
須黒先生は、笑いながら謝った。
ここは、東京都中央区にある、リヒトの東京支部だ。
アサキ、カズミ、須黒先生の三人で訪れているのである。
名目は、施設見学および研修だ。
招待を受けたのがアサキであることから、最初はアサキ本人と、引率者として須黒先生の二人だけ、のはずだったのだが、カズミが是非にと同行を申し出たのである。
ここの所長が、以前より妙にアサキに目を掛けていることを、不審に思ったカズミが、自ら番犬の役割を買って出たのだ。
カズミ参加の許可を得るのに特に揉めることはなかった。
見学歓迎、それがリヒトの方針だからだ。
自主的に見学をしたがる者などは、ほぼ皆無らしいが。
一介の魔法使いは、少ない私生活も大切にしたいであろうし、わざわざ訪れて見学したところでなにがどうなるわけでもないのからだ。
そもそもメンシュヴェルトは、リヒトの存在を積極的に下層メンバーつまり魔法使いたちに知らせることもしないため、なおさらであろう。
「令堂さん、もう一回測定してもいいですか? ちょっとだけ。すぐ済むので」
白衣をラフに着た、先ほど須黒先生から吉岡さんと呼ばれていた眼鏡
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