第十二章 真紅の魔道着
[2/25]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
「昭刃さん、令堂さん、さっきのデータなんですけど、ちょっと見てみます?」
白衣の男性に掛けられた言葉に、
「見たい!」
カズミが、ぐっと身を乗り出した。
「分かりました」
と、男性がパネルを操作すると、壁面に備え付けられている大型モニターの映像が、切り替わった。
赤、青、緑の円グラフや棒グラフ、表枠にはびっしりと詰まった数値が表示された。
「和美って書いてあっから、これがあたしか。で、こっからなにが分かんの?」
「まず、昭刃さんは典型的なパワー型であることが分かります。成長曲線がじわじわとしか上がっていないのは、元々能力が高く、最初からかなり完成に近かったからですね」
「ふーん。嬉しいような残念なような、だな。……えっ、さっき戦ったデータだけで、どうして成長が分かんの? つうか、日付んところ、去年のまで書かれてるんだけど」
確かに画面を見れば、一ヶ月ごと去年の分までの数値が、細かく表示されている。
「今回試した測定システムは、より細分化した計測が可能な試作型というだけであって、もともと、かなり以前から、魔道着には様々な値を、サーバーにフィードバックする機能が、搭載されているんですよ。そうして集めたデータを参考に、魔道着や武器のソフトやハードを開発するんです」
「知らなかった。……で、こいつのは?」
ぽん、と赤毛少女の肩を叩く。
ぴん、ともう一方の手で赤毛のアホ毛を摘んで、引っ張り上げた。
「はい。令堂さんの測定値は、これです」
「うおっ」
画面が切り替わったその瞬間に、カズミはもう、驚いて大きな呻き声を上げていた。
魔法使いとして活動を開始した、半年前からの値が表示されているのだが、折れ線グラフや棒グラフがうなぎ上り、いや鯉の滝登りといった凄まじい上昇を見せているのだ。
「気持ち悪いな、お前。すぐ泣くくせしやがって」
カズミは、ちょっと引いたような、じとーっとした視線でアサキを見つめている。
「多分、なったばかりだから伸び率が高いだけじゃないかな。最初が酷すぎたというだけで」
謙遜しながらも、ちょっと憮然とした表情のアサキである。
せっかくの努力の証を、気持ち悪いなどと一刀両断されたら、そうもなるだろう。
「えーっ! なんだよお、パワー以外は、ちょこちょことあたしを抜かしてんじゃんか。はあああ、ムカつくなあ。すぐ泣くくせに」
「いちいち、すぐ泣くっていわないでよ! ……実戦の場なら、カズミちゃんの方がずっと強いよ。わたし、まだまだ経験もないし」
「まあ確かに、いざ戦いになりゃあ絶対に負けねえけどな」
ふふんと笑うカズミ。
「わたしだって負けないように頑張るもん」
「じゃあ負けたら犬のウンコ食え
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ