第七話 入学式の後でその十二
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「それって」
「そうした世界もあるの」
「そうなの」
「けれどお金をそうして使うのはね」
それはというのだ。
「確かにね」
「よくないわよね」
「お金は大事よ」
言うまでもない、そうした母の言葉だった。
「本当にね」
「もうお金がないとね」
「何も出来ないでしょ」
「そのことは事実よね」
「そう、だからね」
「お金はちゃんと使うべきよね」
「そんなホストクラブで遊んで」
そうしてというのだ。
「一億とか散財するなんてね」
「馬鹿なことよね」
「ホストの人に貢いでも」
そうしてもというのだ。
「何か返ってくるか」
「それはないわよね」
「そう、何もね」
それこそとだ、母は娘に話した。
「ただホストの人が喜ぶだけよ」
「本当にそうよね」
「それでホストの人達もね」
その彼等もというのだ。
「それがステータスで生き方だから」
「貢がれることが」
「そう、そしてそのお金でね」
「生きていくのね」
「勿論ホストクラブからのお給料もあるけれど」
それはあるがというのだ。
「やっぱりね」
「貢がれてなのね」
「それがあの人の収入だし」
「ホストクラブのお給料でも生きられるわね」
「基本ね、お母さんにはそうした人に貢ぐなんて」
「理解出来ないわね」
「それならあんたみたいによ」
咲自身にも話した。
「漫画やライトノベルやゲームにね」
「使う方がいいのね」
「ずっとね」
「そうなのね」
「あとギャンブルも駄目だな」
今度は父が言ってきた。
「あれにお金使って何もなくす人もな」
「いるわね」
「借金漬けになる人もいるぞ」
ギャンブルに溺れてというのだ。
「お父さんもそんな人聞いてきたしな」
「それで知ってるのね」
「そんなことで身を持ち崩してどうするんだ」
「私ギャンブルしないけれど」
「ああ、するな」
それならとだ、父は娘に言った。
「もうな」
「最初から」
「そうだ、あれは勝とうと思ったらな」
「勝てないのに」
「昔阪急って野球チームがあったんだ」
阪急ブレーブスである、関西の私鉄会社が親会社であり何度も日本一にもなった黄金時代も存在したチームである。
「そのピッチャー足立さんは競馬が得意だったがな」
「そのギャンブルね」
「強い秘訣はな」
それはというと。
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