第七話 入学式の後でその十
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「実際に」
「お母さんも運命とか言うの」
「何言ってるの、神様も仏様も信じてるでしょ」
母の返事はあっさりしたものだった。
「そうでしょ」
「言われてみればそうかしら」
「それでよ」
「運命もなのね」
「信じてるのよ」
こう咲に話した。
「全部が全部じゃないけれどね」
「お父さんも信じているぞ」
今度は父が言ってきた。
「運命はな」
「あるの」
「そう、そしてな」
それでというのだ。
「速水さんと会ったのもな」
「運命なのね」
「少なくともコンビニに入っていたらな」
「覚醒剤の密売人の傍に来て」
「下手をして声をかけられたな」
「大変なことにもなっていたわね」
「そうなる可能性もあったからな」
だからだというのだ。
「助かっただろ」
「確かにね」
「そう思うとな」
「助けてもらったことも」
「運命だ、じゃあその運命に従ってな」
「速水さんになのね」
「連絡しろ」
家に来て欲しいと、というのだ。
「いいな」
「それじゃあね」
「何でもかなり不思議な人らしいがな」
父は速水についてこうも言った。
「時々いなくなってすぐに帰って来るらしいしな」
「そうなの」
「占いが当たるだけでなく」
それに加えてというのだ。
「時々いなくなる」
「そのことが不思議なの」
「そう言われているな」
「凄い美形だし」
見れば母は自分のスマートフォンを出してそのうえで速水の名前を検索して画像を観ている、そうして言うのだった。
「浮いたお話があってもおかしくないわね」
「浮いた話は聞かないか」
「ええ、ネットでも美形の占い師さんとしてね」
「有名なんだな」
「そうだけれど」
夫に話した。
「これがね」
「浮いた話もか」
「なくて」
それでというのだ。
「そのこともね」
「不思議か」
「私が思うにね」
「そうか、けれど女の人に清潔ならな」
「咲にとってもいいわね」
「お店の娘に手を出す人もいるからな」
「ええ、そんな人でないなら」
それならというのだ。
「そのこともね」
「いいな、じゃあな」
「速水さんに来てもらって」
「お話を聞いてな」
「咲のことをお願いしましょう」
「アルバイトのことをな」
「そうしましょう」
こう夫婦で話した、そしてだった。
夫婦の話の後でだ、母はまた娘に言った。
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