第七十一話 エドゥアール王、最後の一日
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で問題を起こす、か」
報告書を閉じ、目頭を指で摘む。
かなり集中していたらしく、太陽は西に傾きかけていた。
「う!?」
突如、頭痛に襲われたエドゥアール王は、机の引き出しから頭痛の秘薬を取り出しそれを呷った。
秘薬の効果はすぐに現れ頭痛は治まった。ここ数年、持病の頭痛に悩まされるエドゥアール王は、秘薬を手放すことが出来なかった。
「ふう、収まった」
頭痛が去り、エドゥアール王は思考を再開し、別の書類を手に取った。
報告書には、彼ら成金の起こした事件が書かれていて、書類の男は一時は収監されたが、保釈金を払ったその足で、繁華街に繰り出し再び問題を起こした事が書かれていた
彼らは、『成金貴族』、または単純に『成金』とあだ名され、一般市民にすこぶる嫌われていた。
トリステインの大成功の裏で、別の歪みが生まれつつある事を報告書を呼んだエドゥアール王は懸念した。
「マクシミリアンが言っていたように、平民に初等教育を施す機関を作ろうか……」
マクシミリアンが本来提示した初等教育制度は、より平民から多くの人材を得るために、初等教育を施すのが当初の目的だったが、エドゥアール王は悪知恵が働く成金達に平民達が対抗できるように、平民に教育を施そうという方向へシフトしようと考えていた。
「しかし、ロマリア教国が黙ってみているはずも無い。何か手を考えないと……」
エドゥアール王はロマリア教への対策を練ろうと思考に入ると、エドゥアール王の脳内で何かが弾けた。
「う!」
どういう訳か頭の中に靄が掛かったようになり思考できない。
「おえあ(これは)……?」
思考が回らなくなったエドゥアール王は、次に呂律が回らなくなり、助けを呼ぼうと席を立とうするが、今度は身体が動かなくなると、インク瓶をぶちまけて机の上に倒れこみ動かなくなった。
数分後、家臣の一人が報告書を持って執務室に入り、倒れたエドゥアール王を発見したときには、エドゥアール王の息は無かった。
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