第三章
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「急に」
「これが声を出してたんでしょうか」
「そう考えるのが妥当ですね」
「そうですね、ほな一旦その丸太を持って帰りますか」
「そして調べますか、丸太やさかい」
それでとだ、池田は背中のそれを見ながら二郎に話した。
「割ったりしますか」
「そうして調べますか」
「中に何かがあって言葉出してたかも知れませんし」
だからだというのだ。
「ここはです」
「丸太を割りもしてですね」
「調べますわ」
「そうしますか」
「えっ、割られたら困ります」
二人が話すとだった、その丸太が驚いた声を言ってきた。
「流石に」
「丸太が喋った」
「やっぱりあの声はこの丸太が喋ってましたか」
「そうみたいですね」
「これは」
「丸太やないです」
丸太はこう言うとだった。
どろんと白い煙に包まれて姿を変えた、その姿はというと。
狸だった、狸は二本足で立ちながら二人に言った。
「悪戯してただけで」
「狸か」
「狸が化けてたんか」
「はい、狸は化かして悪戯するのが生きがいで」
「それでかいな」
「夜はここで人が来れば」
そうなればというのだ。
「驚かして」
「そしてかいな」
「返事があれば今みたいにで」
「丸太でどしんとしてか」
「驚かしてました、ただそれだけで」
脅かせるだけでというのだ。
「それ以上のことはです」
「せんかってんな」
「そうです」
「そしてそれが狸の生きがいが」
「狐もそうですけど」
「それ以上はせんか」
「化かす以上のことは」
到底というのだった。
「せんです」
「そやねんな」
「はい、ですから」
それでというのだ。
「安心して下さい」
「それやったらええけどな」
「けどもうばれてしもうたさかい」
それでとだ、狸は池田に話した。
「ここでの悪戯は止めます」
「そうするか」
「別の場所で」
「そこでか」
「人を化かします」
「それは変わらんか」
「狸ですから」
それはというのだ。
「そうします」
「けど人は襲わんな」
「狸も狐もそういうことはしません」
「そやったらええけどな」
「まあこれ位ならええですね」
二郎も言ってきた。
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