第三章
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今夜は昭介と飲む約束があった、自分の部屋で酒に簡単な料理を自分で作って飲み食いとお喋りを楽しむ予定だ。それで女性に無念の気持ちで答えた。
「無理なんです」
「予定があるの?」
「はい、そうなんです」
「そうなの、じゃあね」
「また今度ですね」
「お願いするわね」
「はい」
峰雄は答えた、そしてだった。
仕事が終わるとコンビニに寄って所謂ストロング系の酒とカップ麺やポテトチップを買って部屋に帰った、そうして昭介と飲みながら彼女のことを話した。
「惜しいと思ったけれどな」
「俺との約束を優先したんだな」
「ああ、そうしたよ」
ストロング系のレモンの五〇〇ミリリットルを缶ごと飲みながら答えた。
「色々考えたけれどな」
「そうなんだな」
「ああ、それでな」
峰雄はさらに言った。
「今ここで話してるんだよ」
「その人左手に指輪してなかったよな」
昭介はここで峰雄にこのことを問うた。
「薬指にな」
「ああ、そこか」
「若しそこに指輪があったらな」
「人妻さんだからな」
「そういう関係になったらな」
その時はというのだ。
「洒落にならないことになりかねないぜ」
「そうだよな」
「だからな」
「その人にはか」
「何を言って誘ってきてもな」
「乗らないことだな」
「ああ、跡になっていてもな」
指輪のそれがだ。
「乗るなよ」
「それがわかるからか」
「というかな」
昭介は自分が買ったカップ焼きそばを食べつつ言った。
「何か俺が思うにな」
「ああ、どうなんだ?」
「その人何か思惑があってな」
「俺に声をかけてきたか」
「そうだと思うからな」
それでというのだ。
「あまりな」
「乗らない方がいいか」
「俺はそう思うぜ」
「お前の思ったことをそのまま言ったんだな」
「ああ、本音だよ」
昭介は自分のそれだと言い切った。
「完全な、な」
「そうなんだな」
「もっと言えば羨ましいとも思ってるさ」
「それも本音か」
「人間相手に自分の考えは言葉や仕草にしないとわかってもらえないだろ」
昭介はここでもこう言った。
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