第四章
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「結婚を。僕から」
「わかった、ではだ」
「それならですか」
「この指輪受け取らせてもらう」
これが淳美の返事だった。
「有り難くな、そしてな」
「婚姻とか式のことは調べましたから」
「耀司君がか」
「そうさせてもらいました、ですから」
「君がやってくれるか」
「それでいいですか?」
「後輩だ、年下の彼氏とばかり思っていた」
淳美は筧の言葉をここまで聞いて微笑んで述べた、嬉しい様なそれでいて後悔する様な複雑な微笑みだった。
「こう言っては済まないが私が引っ張る様にな」
「思われていましたか」
「そうだった、だがそれは違った」
間違いだったというのだ。
「君は私より大きくなっているな」
「課長さんに言われたんで」
「人の言葉を聞いて受け入れて動いても同じだ」
「そうなんですか」
「そうだ、それもだ」
まさにというのだ。
「同じだ、だからだ」
「それで、ですか」
「私も今言っている、ではこれからのことはな」
「僕がですね」
「やってくれ、ではこれからもな」
「はい、こちらこそ」
「宜しく頼む」
「そうさせてもらいます」
筧は淳美に笑顔で応えた、そうしてだった。
二人は筧が婚姻届や式そして新婚旅行のことまで全て整えてだった。
そこから結婚生活に入った、淳美は夫婦生活が落ち着くと筧にこう言った。
「これからも旦那さんの成長を見ていきたいな」
「僕のですか」
「そうだ、もう後輩やそうしたことは関係なくな」
「旦那さんとしてか」
「見ていきたい、そして私も頑張ってだ」
そしてというのだ。
「旦那さんに負けない様に成長しないとな」
「淳美さんもですか」
「そう思った」
「夫婦はお互いを見て頑張ってですね」
「成長するものだと思うからな」
「だからですね」
「私も負けていられない」
夫に微笑んで言った、淳美は実際に頑張って自分も成長する様に努めた。言うまでもなく彼女の夫もそうして夫婦生活を送っていった。
年上で 完
2020・10・12
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