第一章
[2]次話
年上で
飯富敦美はきりっとした切れ長の目で赤がかった肩までの髪の毛に面長で顎の先が尖った顔をしている。背は一六七ありすらりとしたスタイルだ。
会社ではテキパキと働く面倒見のいい社員として知られている、交際相手がいて大学時代の後輩で。
今はゲーム会社で働いている、彼の名前を筧耀司という。背は一七〇程で野暮ったい顔立ちで眉毛が太く顔は四角い。黒髪を短くしていて体型はやや太っている。
その筧が淳美と休日のデート中にこんなことを言った。
「あの、いつも」
「どうした？」
「僕淳美さんに頼り切りかな」
喫茶店でコーヒーを飲んでいる時にこう言った。
「どうもね」
「それは駄目か」
「駄目っていうか」
「言っておくがだ」
淳美は筧に強い声でこう告げた。
「男だからとか女だからとかだ」
「そうしたことはだよね」
「言わないことだ」
「男女差別だよね」
「性別による出来る出来ないの違いがあるが」
それでもというのだ。
「同じ人間だからな」
「そうだよね」
「君も男だ女だとかは嫌いだな」
「うん、そんなことを言っても」
それでもというのだ。
「男がいいか、女は駄目か」
「違うな」
「そんなこと言ってる男の人で屑な人見たからね」
「私は女でも見た」
「女の人でもいるね」
「そうだ、性別に関係なく努力すれば能力が備わる」
淳美はクリープを入れたアメリカンを飲みながら言った。
「そしてだ」
「能力や性格が評価されないとね」
「駄目だ」
「そうだよね、世の中は」
「君もわかっているな」
「うん、ただ僕ってどうしてもね」
筧は淳美にあらためて言った。
「淳美さんに頼りきりだね、昔から」
「大学時代からか」
「付き合う様になってからね」
「それはいいだろう」
別にとだ、淳美は彼に返した。
「同じ大学でだ」
「同じサークルで」
「私は一学年上でな」
「僕が後輩でね」
「年齢が上でそこからの付き合いだからな」
「先輩後輩からね」
「そして交際もしているが」
それでもというのだ。
「やはり年齢のことがある、そして先輩だったからな」
「僕が淳美さんを頼ってもだね」
「いい筈だ、それにだ」
「それに？」
「君は日常生活も仕事も出来ている」
その両方がというのだ。
「だからだ」
「恥ずかしく思うことはないんだ」
「一切な」
そうだというのだ。
「落ち着いていればいい」
「そうなんだね」
「私はインテリア関係にいるがな」
「僕はゲーム関連でね」
「お互いにしっかり働いているからな」
尚二人共八条大学出身で勤め先も八条グループの企業である。
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