二対一
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「この神殿、元々王様のものなのかな」
「……『太陽の王、ラ・ムー』……かしら?」
そういったのは、リゲルだった。
例によって、ゴーグルで膨大な量のデータを出しては消しており、その解析によるものだろうか。
「すっげーな。カワイ子ちゃん、読めるのか?」
「青の世界の技術力なら、これ程度の翻訳なら簡単よ。……カワイ子ちゃん?」
リゲルが顔をしかめた。
だが、コウスケはにっこりと笑う。
「ああ」
「やめて。その呼び方だと、寒気がするわ」
「何だよ。いいじゃねえか。それに、リゲルって、なんだか無骨すぎんだよ。もうちょっとファンシーな名前にしようぜ」
「何よ、ファンシーな名前って」
リゲルの冷たい目線に、コウスケは苦笑する。
「えっと、リゲルっつーのは、確か星の名前だよな? だったら……」
「そもそも変えようとしないで」
リゲルは言い放つ。だが、コウスケのマイペースは止まらない。
「デネブ」
「女性にその名前とか、殺すわよ」
「アルタイル」
「路線がおかしい」
「ベガ」
「……」
「お? もしかして気に入ったか?」
コウスケはさっと階段を駆け下り、リゲルの顔を覗き込む。
すると、リゲルはそれまでのクールさはどこへやら、怒りの形相でコウスケの顔面をすっぽりと銃口で覆っていた。
「え」
「二度とその名を口にするな」
「は、はい……」
彼女の威圧に、さすがのコウスケも身を震え上がらせていた。
「まあまあ」
徐々に騒がしくなっていく二人を宥めながら、ハルトは塔を見上げる。螺旋階段が続く先は、まだまだ果てしなく遠い。
「でも正直言って、少しはあるんじゃないか? バングレイたちがいる可能性」
その言葉に、コウスケとリゲルは口を閉じる。二人もそれぞれ、ハルトと同じ方向を向いた。
「まあ、見るからにこの大陸の中心だったからな。他よりは可能性高えだろ」
「いるわ」
リゲルが見上げたまま、また連続でゴーグルにデータを表示させていく。
「生体反応が四つ……二つは弱いわね」
「弱い?」
「ええ。……それと、これは……何?」
「これ?」
ハルトの疑問に、リゲルは頷いた。
「一つ。生体反応とは言えない、これは……?」
「……ああ」
ハルトは納得して頷いた。
「バングレイの、記憶の再現か」
「記憶の再現?」
「バングレイは、相手の記憶から、人を呼び起こすことができるんだ。あいつに隙を見せたら、これまでの自分の敵味方が大勢相手しなければいけないってことを覚悟しなくちゃいけない」
「……それ、どういうこと?」
リゲルはゴーグルを閉じながら尋ねた。
「お前が……サーヴァントとし
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