出会いと再会は一方通行
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となって衝突し、跳ね返された。見事なカウンターである。
吹き飛んだ少女は一度バウンドしてから地面に転がった。
「うう……くぅ……」
激痛に呻きながらも立ち上がる。だが、両手に握っていた剣が無い事に愕然とする。
剣はすぐ目の前の地面に一本。もう一本もそのすぐ側にある。だが、そのすぐ後にはドスジャギィが迫って来ていた。
拾っている暇は無い。試みた時には奴に止めを刺されている。少女はそれを理解して、予備のナイフを抜く。雑用で使う物で武器としての使用には向いてない物だ。無いよりはマシではあるが……
ドスジャギィが腰を落とし、ゆっくりと間合いを詰めてくる。
こんなナイフで何が出来る? 少女は自問するが答えはナニモデキナイという無情なものだった。
「……私には無理……か」
自嘲気に呟きながら力なく笑った。ここでこの狗竜と呼ばれる鳥竜に敗れ、喰い殺されるのが自分の限界だった……それだけのことだ。
「ギャエッ!」
突然目の前のドスジャギィが突然悲鳴を上げて顔を逸らした。
「え?」
見ると件の鳥竜のその右目には掌に収まるほどの小さなナイフが刺さっている。
「今だ! 来い!」
男の声が聞こえた。声のした方向には一人の男がこちらに歩いてくるのが目に入った。
ユクモでよく見られる動きやすさを重視した服と編笠を着用している。
少女は落ちていた武器を素早く拾い、男の方へ駆け出した。
「下がっていろ」
「え?」
男は少女とすれ違う際に呟くように言うと、ドスジャギィに向かって歩いていく。その後姿が語っていた俺一人で充分だ≠ニ。
少女は呆然とその背中を見送った。その背中があまりにも大きく見えたから。それが、とても力強く逞しく見えたから。
ドスジャギィが痛みを堪えて男へ向き直った。ナイフが深々と刺さった左目は完全に光を失っている。完全に怒り狂っているようだ。
空に向かって吠えた。ドスジャギィが群れの配下達を援軍に呼び出す際の合図である咆哮。しかし、ジャギィもジャギィノスも姿を見せない。それは既に群れはこのボス以外全滅している事を意味していた。
ドスジャギィは唸り声を上げて、男を睨み付ける。対する男はゆっくりとこちらに歩いてくるだけだ。
「キエエアアアアアアアアア!!」
ドスジャギィが咆哮を上げて男に突進する。繰り出される一回転の遠心力を受けた尾の薙ぎ払い。狙うは首だ。直撃を被れば首は皮一枚で繋がるかどうかも怪しい必殺の一撃だ。
しかし、それは男が一気に姿勢を低くした為に空振りに終った。
対する男が繰り出すは水面蹴り。尾での薙ぎ払いを渾身で放っているジャギィの体制は足元への攻撃にあまりにも弱く、片足を払われるだけで体勢を崩してしまった。回転の勢いもあってバランスなど保ちようが無い。ドスジャギィは脆く
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