出会いと再会は一方通行
[5/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
だけの事を一瞬とも言える時間でやってのけたのだから、自分達が付く頃には全て終ってるんじゃないか? とトラは漠然と思った。
鞭のように撓る小指ほどの太さの棘の生えた尾が振るわれる。その一撃は重く、直撃を被れば棘が身体に刺さるどころか、まだ止まらない勢いが棘を引っ張って傷を抉るように拡大させるだろう。
それを理解しているからこそ少女はソレをバックステップで躱す。頭の両サイドで結ばれた艶のある長い黒髪が遅れて引っ張られるも、振るわれる尾に巻き込まれる事は無かった。
少女が対するのは大きなエリマキが特徴の、ジャギィ達の群れのボスであるドスジャギィと呼ばれる鳥竜種のモンスターだ。群れのボスというだけあって体格も通常のジャギィとは比較にならないほど大きい。
その力は当然ジャギィ達の比較にはならない。特に対峙している少女では致命的だ。軽装な上に小柄、更には単独行動で味方も無し。
今の所ドスジャギィは単独だが、少しでも追い詰められるとダメージ覚悟で仲間を呼ぶ。そうなったら勝ち目が無い。
今更になって置いて来てしまった姉二人を思い出す。普段なら三人で行動し、弱点を補い合って目的を達成する。なのに、今は一人。自分一人が功を焦って突出したせいだ。
このドスジャギィとは何度も遭遇している。その度に自分達など相手にするまでも無い……とでも言いた気に手下を嗾けるだけで奥に下がっていく。
今回こそは、今まで倒せなかった群れのボスを倒す好機と思っていた。
だが、ドスジャギィは想像以上に強かった。多少の傷ではビクともしないタフさが何よりも厄介だった。
両手に持った、十手を思わせる二刀の小剣の切れ味も鈍ってきているのもまた、少女の危機感を煽らせている。
不意にドスジャギィが腰を落とした。
少女が反射的に身構えると、ドスジャギィは自身の身長の三倍ほど高く跳んだ。
「くっ!?」
少女は危険を察知すると咄嗟に前方へ全身を投げ出すように跳ぶ。
ドスジャギィが先程まで少女がいた場所に、重い音を立てて着地する。跳んでいなかったら踏み潰されていた所だ。
だが、少女は地面に身体をしたたかに打ちつけていた。そこ自体は土だったが乾いて硬くなっている上に、受身も取れずに倒れたせいでその衝撃は思いのほか強かった。
そこへ無情にもドスジャギィの追撃が迫る。近付いてその大きな足で踏みつけようと足を持ち上げる。
少女は肩越しにそれを見て咄嗟に転がって躱し、すぐに起き上がって反撃に出た。
しかし、ドスジャギィはそれを見越していたようで、姿勢を低くして横へと強く一歩踏み出した。丁度、剣を構えて反撃してくる少女の正面だ。
「へぶっ!?」
突然の事に攻撃も回避も間に合わない。ドスジャギイが文字通り壁
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ