出会いと再会は一方通行
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然と呟く。
その直後、ジャギィ達から血飛沫が舞った。一瞬で何頭ものジャギィ達が斬り捨てられる。
振るわれるのは白刃。それを振るうのは一人の人間だった。
その動作は美しくも力強く、白刃と血で無数の弧を描くソレは剣舞と呼ぶに相応しいものだった。
最後の一頭が逆風に切り上げられた刃にて頭を左右に両断された。突然の介入者はゆっくりと残心しつつ、刀をふるって血糊を払い落とし鞘に収めた。
「怪我は無いか?」
その人物はそう言って被っている編笠を持ち上げつつ、未だに呆然としている二人に話しかけた。
青年だ。肩に届く位の長さの金色の髪、整ったその顔は女性と見紛うほどの中性的な顔立ちだったが、湖のような透き通った瞳は猛禽類のような鋭い眼光を宿している上に、背は二人よりも頭一つ分は大きかった。身体も細身とは言え引き締まって筋肉質であり、何処か野生の獣のような雰囲気すら放っている。
「あ……助かりました! ありがとうございます!」
ようやく正気に戻った少女が剣を勢いよく頭を下げる。
「気にしなくて良い。それよりも顔を拭いたらどうだ? 血塗れだぞ」
「あ……」
少女が慌てて腰の後の鞄から手拭いを取り出して顔を拭き始める。余程慌てていたのか武器である剣と盾を落としてしまっている。
「まずは水に浸した方が良い。……どうかしたのか?」
駆け付けた青年……ヴォルフ・ストラディスタは、乾いた手拭いで血を拭っている少女に注意したところで、もう一人の女性が自分を見て目を見開いて呆然としている事に気付いた。
「……もしかして、ヴォルちゃん? ヴォルフ・ストラディスタちゃんですか?」
「……ちゃん?」
ヴォルフは予想もしなかった呼ばれ方に一瞬硬直したが、顳を指で軽く叩いて気を取り直した。
「確かに俺はヴォルフ・ストラディスタだ。俺を知っているのか?」
ヴォルフの言葉に女性は花咲いたような満面の笑みを浮かべ、顔を拭いていた少女は驚いたような顔でヴォルフを見た。
「やっぱりヴォルちゃんなんですね!?」
女性が笑顔のままヴォルフに近付くが、ヴォルフは反射的に一歩後に下がる。彼女は自分の姿をすっかり忘れているようだ。殆ど全身に血化粧が施され、生臭い臭いが立ち上がっている。
加えてそんな血塗れの顔で、無邪気な笑顔を浮かべられたら逆に恐怖感を抱いても不思議は無いだろう。鏡で見せてやりたいくらいだ。
幸か不幸か今現在、ヴォルフは鏡を持っていない。持っていると色々便利なのでこれからは携帯しようと、ヴォルフが心に誓ったのはここだけの話だ。
「何故下がるんですか?」
「お姉ちゃん。血塗れだよ?」
ヴォルフが下がった事に小首を傾げながら疑問を口にした女性は、濡らした手拭いで改めて顔を拭いていた少女の指摘に、女性はポンと手を打
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