暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
G編
第82話:塔の下に舞う血飛沫
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よ。お友達感覚で計画遂行に支障を来たされては困りますので」
「でも、護衛を1人も置いておかないのはちょいと迂闊じゃないかねぇ? こうして近付かれたら終わりじゃん」
「そう思いますか?」

 颯人に接近されていると言うのに余裕の表情を崩さないウェル博士。
 その余裕の理由はすぐに分かった。颯人の背後にソーサラーが転移して来て、姿を現すと同時にハルバードを横薙ぎに振るったのだ。

 背後からの攻撃に颯人は振り返る事なく切り裂かれ、その体が光となって霧散した。

 その光景は予想外だったのか、ウェル博士もソーサラーも言葉を失った。

「なっ!?」
「そう言う小細工に関しちゃ、俺の方が一枚上手だぜ?」

 颯人の声がウェル博士の背後から響く。同時にウェル博士は後頭部に銃口が押し付けられているのを感じた。

「後ろッ!? 何故ッ!?」
「んっんー、何でかな? 天才なら当ててみな」

 このトリックはとても単純で、颯人が転移したのはウェル博士の背後だった。その後彼はコピーでウェル博士の前に自分の姿を作り出し、さもウェル博士の前に直接転移してきたかのように振舞ったのだ。

 ソロモンの杖をコートの下に隠して無害な博士を装う彼の性格なら、無防備を晒すフリをして伏兵を用意してもおかしくないと考え策を練ったのである。

 裏をかいたつもりが逆に裏をかかれた事に、ウェル博士は悔しそうに歯噛みする。ソーサラーはウェル博士を助けたいが、自分が何かするよりも颯人が行動する方が早い事が分かっているので何もする事が出来ない。

 ウェル博士とソーサラーの動きを止めた事で、颯人の思惑は成功した。指示の無くなったノイズはあっという間に奏達により一掃され、ウェル博士とソーサラーは取り囲まれる。

 後はこの2人を連行すれば良い。だがその前に聞いておかなければならない事があった。

「何を企てる、F.I.S.。ソロモンの杖、そして魔法使いと手を組み、何を成すつもりだ?」
「企てる? 人聞きの悪い。我々が望むのは、人類の救済ッ!」

 翼からの問い掛けに、ウェル博士は颯人から銃口を向けられているにも拘らず天に向けて指を突き出す。その指が向いた先は、天井で輝く掛けた月。
 そして月を指差しながら、彼は声高らかに言った。

「月の落下にて損なわれる、無辜の命を可能な限り救い出す事だッ!」

 それはあまりにも衝撃的な言葉だった。月の落下など、言われてもおいそれと信じる事が出来るものではない。

「月の公転軌道は、各国機関が三ヶ月前から計測中ッ! 落下などと結果が出たら、黙って――」
「黙っているに決まっているじゃないですか」

 あまりに衝撃的な言葉に、反論しようとする翼だがそれをウェル博士が遮った。

「対処方法の
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