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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
G編
第82話:塔の下に舞う血飛沫
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待しててくれ、旦那」
「皆、気を付けろよ」
嫌な予感を感じたのか、何処か険しい表情で颯人達を見送る弦十郎。
そんな彼に颯人はサムズアップをして、魔法により奏達共々カ・ディンギル址地へと転移した。
***
颯人が転移した先は、あの決戦の日を思い出すカ・ディンギルの真下であった。特にここで一度は透を失ったかと肝を冷やしたクリスは、良い思い出が無いからか露骨に嫌そうな顔をした。
だがその顔は直ぐに敵意に染まった。
そこには既に待ち構えている人物が居たのだ。
「フン――」
待っていたのは決闘を申し込んできた切歌と調の2人でも、マリアでもソーサラーでもなかった。
颯人達から離れた場所に立っていたのはウェル博士。手にソロモンの杖を持ったウェル博士が待ち構えていたのだ。
「野郎ッ!」
クリスはソロモンの杖を持つウェル博士を、今にも噛み付きそうな顔で睨み付ける。
それに対し、ウェル博士は挨拶代わりにノイズを召喚して颯人達に向かわせた。
「おぉおぉ、ご挨拶だねぇ。分かり易くて結構」
〈シャバドゥビタッチ、ヘンシーン シャバドゥビタッチ、ヘンシーン〉
向かってくるノイズを前に、颯人は左手にフレイムウィザードリングを嵌め変身し、奏達も聖詠を唱えギアをその身に纏った。
「変身!」
〈フレイム、プリーズ。ヒー、ヒー、ヒーヒーヒー!〉
〈チェンジ、ナーウ〉
「Croitzal ronzell gungnir zizzl」
颯人はウィザード、透はメイジに変身し、ギアを纏った奏達は次々とノイズを蹴散らしていく。今度は適合係数が低下させられることも無く、全力を出して戦えている。
奏の槍がノイズを次々と薙ぎ払い、翼の剣がノイズを膾切りにしていく。決して離れ過ぎず、近すぎない絶妙な距離を取る2人は息の合ったコンビネーションで加速度的にノイズを蹴散らした。
一方響もクリス・透と共にノイズを叩きのめしていく。まるで前回のリベンジと言わんばかりだ。全力が出せれば彼女達がノイズ相手に後れを取る道理などない。
そして颯人はと言うと、数を減らす様子の無いノイズの群れを潜り抜けウェル博士に肉薄していた。ウェル博士は次から次へとノイズを召喚していたが、転移魔法が使える颯人には殆ど意味が無い。
ノイズの数は多いが、奏達ならあの程度物の数ではない。颯人は彼女達を信じて、同時に彼女達の負担を少しでも減らす為に早々にソロモンの杖を押さえるべくウェル博士に接近したのだ。
「よぉ、博士! 決闘を申し込んできたのは切歌ちゃんと調ちゃんだった筈だけどあの2人はどうしたんだい?」
「あの子達は謹慎中です。だからこうして私が出張ってきているのです
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