第百九十九話 アミンの決断その七
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「これはもう勝つどころやないわ」
「そうですか、ではです」
「このまま戦えばですね」
「敗れるのは我々ですね」
「そうなりますね」
「間違いなくそうなるわ、どうするか」
敗北が確実な状況を見て思うのだった。
「一体な」
「難しいところですね」
「戦っても敗れるしかないのでは」
「選択肢がないですね」
「それでは」
「ほんまにな、しかし大事なんは民と国や」
この二つだというのだ。
「この二つをどう守るかや」
「戦そして世界の危機から」
「それが大事だというのですね」
「この状況でも」
「そうなのですね」
「負ける状況でもな」
それでもというのだ。
「果たしてどうするか」
「アミン様、宜しいですか」
ここで一人のスケルトンの女がアミン達のいる部屋に入って来て彼に声をかけてきた。奇麗な声である。
「シンガポールから使者の方が来ています」
「シンガポールの?」
「はい、お会いしたいとのことですが」
「その攻め込んで来る相手からか」
「どうされますか」
「降伏勧告やな」
即座にだ、アミンはこのことを察した。
「それで来たな」
「そうなのですか」
「他にはないわ」
「ではどうされますか」
「会う」
アミンはスケルトンの女に答えた。
「降伏して戦にならずに済んで国土も民も護られるならな」
「それならですか」
「会うわ、使者に伝えてくれ」
「それでは」
女はアミンの言葉に頷いた、そうしてだった。
彼は使者を自分の部屋に入れてそこで会った、すると。
ゴブリンのその使者の言葉に彼は我が耳を疑ってこの言葉を出した。
「リーさんほんまにそう言うてるんか」
「左様です」
死者はアミンに礼儀正しく答えた。
「私にこの言葉を伝えて欲しいと言われました」
「そうなんか」
「それでどうされますか」
「それでお願いするわ」
アミンは使者に答えた。
「是非な」
「ではこのことを」
「リーさんに伝えてくれ」
「それでは」
使者はアミンの言葉を受けて退室した、その使者を見送ってからアミンは共にいる者達に対して言った。
「話を聞いたな」
「はい、今しがた」
「確かに聞きました」
「そうさせて頂きました」
「そやな、しかしな」
アミンは信じられないといった顔で述べた。
「嘘みたいな話やな」
「条件がいいといいますか」
「嘘の様ですね」
「兵を向けてきているというのに」
「今のお話は」
「しかし会うと約束したから」
だからだとだ、アミンは話した。
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