第七話 入学式の後でその六
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「一時間で千五百円は」
「千五百円、高いですね」
高校生の東京でのアルバイトとしてはとだ、咲はその額に驚いた。
「それはまた」
「ですがどうでしょうか」
「本当にいいんですか?」
「はい、間違っても怪しいお仕事ではありません」
速水は咲にこうも話した。
「何でしたら貴女のご両親ともお話して」
「会ってですか」
「そしてです」
そのうえでというのだ。
「来て頂くということで。あと私のことは調べて下さってです」
「宜しいですか」
「存分に。速水丈太郎と検索されますと」
ネットでというのだ。
「それで、です」
「お名前が出ますか」
「はい、占い師ということで」
「そうですか」
「私を怪しいと思うなら」
「それならですか」
「そうされて下さい」
こう言うのだった。
「存分に」
「それでは」
「はい、ではご両親にお会いして」
「そしてですか」
「お話したいですが」
「そうしてですか」
「アルバイトのお話をしましょう」
こう話した、そしてだった。
速水は自分の名刺を渡してから咲の前から姿を消した、コンビニは結局行かずユーターンして駅に向かい。
そこから家に帰った、すると母が言ってきた。
「遅かったわね」
「入学式の後渋谷行ったの」
「渋谷に?」
「そう、あそこにね」
咲はリビングにいる母に素直に答えた。
「行ってきたの」
「そうだったの」
「それで道玄坂の魔法のアクセサリーのお店に行ったの」
そのペンダントを見せながら話した。
「それでこれ買ったの」
「渋谷ね。あまり行かない方がね」
「いいの」
「あそこも結構色々な人がいるから」
「そう、それでね」
咲はさらに話した。
「覚醒剤の密売人の人も見たわ」
「お話してないわね」
「それはね、あの人に近寄るなって注意されたから」
「それでなのね」
「その人コンビニにいたけれど避けられたわ」
「それはよかったわね、ただね」
それでもとだ、咲はここでだった。
母に速水の名刺を見せた、そうして話した。
「アルバイトに誘われてるの」
「速水丈太郎!?あの占い師の」
名刺の名前を聞いてだった、母は目を丸くして言った。
「有名な人じゃない」
「そうなの」
「お母さんも聞いた位よ」
「そんな有名な人なの」
「そう、タロット占いをして外れないっていう」
「外れないの」
「凄い人らしいわよ」
こう咲に話した。
「何でもね、その速水さんとなの」
「コンビニの前で中にいる柄の悪い人が密売人って教えてもらって」
「その人と関わらずに済んで」
「そしてね」
それでというのだ。
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