第七話 入学式の後でその四
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あるクラスメイトが咲にこう言った。
「小山さん道玄坂のそのお店に行ったことないの」
「道玄坂は一回?二回?行ったことあるけれど」
このことは嘘ではない、中学時代に友達と行ったことがあるし小学校の時母にこうした場所もあると連れて行ってもらったことがあるのだ。ただ坂の上まではない。
「それでもね」
「ないのね」
「そんなお店あるのね」
「そうなの、魔法のアクセサリーを売ってるのよ」
「ルーン文字とかが入った」
「おまじないのね、それでその店長さんがね」
クラスメイト、黒髪をポニーテールにして元気のいい感じの彼女は咲に話した。着ている服は青のセーラー服だ。
「また凄い美人さんみたいなの」
「そうなの」
「黒いスーツに身を包んでいて背が高くて物凄いスタイルで」
「スタイルもいいの」
「胸も凄いらしくてね。目は切れ長で黒髪を後ろで上げてまとめていて」
「そんな人で」
「もうびっくりする位にね」
山手線の中で話した。
「美人らしいのよ」
「それでその人が店長さんで」
「そんなお店があるの」
「そうだったのね」
「だから一度ね」
「そのお店になのね」
「小山さんも言ってみたら?」
咲に少し真剣な顔で提案した。
「今日にでもね」
「渋谷ね」
東京でもおしゃれなことで知られている、ファッションリーダーとも言うべきその場所の名前に興味を持って頷いた。
「じゃあ高校にも入ったし」
「それならよね」
「高校デビューじゃないけれど」
「行ってみる?」
「ええ、渋谷も少し見てみたいし」
「じゃあそうしてね」
「ちょっと行って来るわね」
こうクラスメイトに答えた。
「今から」
「明日お店のこと聞かせてね」
「どんなお店か」
「それでどんな店長さんか」
クラスメイトも笑顔で言った、そして彼女と別れてだった。
咲は足立区の自宅ではなく渋谷に向かった、そして渋谷に着くと八チ公やモアイの像を見てからだった。
道玄坂に向かいクラスメイトが話していた魔法のアクセサリーを売っている店の場所を聞いてだった。
そこに行ってみた、その店は全体的に黒魔術の趣が強く配色もダークネスだった。そして売られているものも。
アクセサリーだけでなくグッズそれに実際の魔法の品の様なものまであった。ファンタジーの要素も好きな咲にとってはいい感じの店だった。だが。
メイド服の若い大学生位の店員に店長のことを聞くと店員は咲に申し訳なさそうな顔でこう答えた。
「店長は今はおられないです」
「そうですか」
「はい、今は急なお仕事が入りまして」
「お仕事ですか」
「このお店以外の仕事もしておられて」
それでというのだ。
「今は広島に行かれています」
「広島ですか」
「福山の方と言われていました」
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