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同盟上院議事録〜あるいは自由惑星同盟構成国民達の戦争〜
【著名な戦闘】ヴァンフリート4=2防衛戦
【著名な戦闘】ヴァンフリート4=2防衛戦(5)~ヘルマン・フォン・リューネブルクの登場
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教育を受けた人間が“農奴上がり”と同じ地上軍兵卒の真似事をするとあらば士気も下がるのは帝国将校として多少なりとも兵士の士気について関心を持つ人間なら一般的常識だろうが
「ですがとにかく、指揮系統の点から小官の下に佐官が横並びになる状況は避けたく思います」
参謀長は面倒な事を、と言いたげにリューネブルクを睨む。
「戦闘序列を再編する必要があるといいたいのか」
10万の指揮に加えて航空隊の面倒まで押し付ける気だったのは明白であった。
冗談ではない。リューネブルクの背筋に冷たいものが走った。この部隊、よもや面倒な連中をすり潰すための部隊なのでは無いか、とすら疑念が渦巻き始め、それを押し殺す。
「はっ主将は小官、副将はフランダン伯爵閣下でよろしいとして」
「ならば、その次は”接弦男爵”ではないか?」
傾いた家を仮装巡航艦と戦斧で立て直した“接舷男爵”ロタール・フォン・エルビン男爵大佐。
古き良きゴールデンバウム貴族の象徴として毀誉褒貶著しいオフレッサー装甲擲弾兵総監の次世代と目されていた男。
あるいは軍務省と財務省が奨励し、統帥本部と帝国宇宙軍艦隊総司令部の頭痛の種である”貴族私掠艦”の浪漫を再興した男。
「はい、閣下。しかしながら男爵であります。しかも主家は断絶しておりブラウンシュヴァイク公家ともカストロプ公家ともリッテンハイム候とも縁を持たぬ御家、同じ大佐とはいえ単純な先任順で序列を組むのは――難しいかと、帝国軍ではありますが各所領から参陣した“予備役軍”も混ざっている事でありまして‥‥‥」
帝国宇宙軍の都市部富裕層・知識人層が多い平民将校からは嫌われ、辺境など不採算な土地で貧苦にあえぐ帝国貴族非主流派からは厚い支持を受けている、面倒な男であることもそれに拍車をかける。
参謀長は面倒そうに額を掻く。
「そうか、そうか。後で問題になるぞ、この手の話は」
「はい、貴族の序列‥‥‥宮中席次は帝国秩序の根本、皇帝陛下の侍従武官を務めたグリンメルスハウゼン子爵閣下の命で発令する編成とならば――」
俺に言葉の裏に責任を押し付けても無駄だ、と仄めかすと、愚鈍そうに見えた参謀長の瞳に狡知の光が瞬いた、軍人はともかく政治屋としてはこの参謀長は無能ではないらしい。
「‥‥‥いや、それでは適任がいるではないか」
「閣下の御深慮を教授願えれば」
一礼をしながらリューネブルクは眼前の中年男について思慮を巡らせる。
あるいは軍人としての能力と政治屋の見地が入り混じっているからこそ、この部隊の行動方針を退嬰的なものにしているのかもしれない。
「いるではないか、皇帝陛下の御厚意を受けた者が、それも准将で貴様の後任であり、なによりも爵位も帝国騎士だ。何も問題はなかろう」
リューネブル
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