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ツバサ -DECADE CHRoNiCLE《ディケイドクロニクル》-
第4話:新たなニチジョウ
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か誰かを重ね合わせるような眼差しを向け、マスターはサクラ達に話し出す。

「今この街にはいないんだけどさ、君と同じような不思議な何かを持っていた人が」

「私と同じような……?」

「そ、不思議なお客さん……懐かしいなぁ。よく仲間内に語っていたよ、"人の音楽を守りたい"って口癖でね」

「今、その人はどうしているんですか?街にはいないって……」

「さっき言った通りさ。なんでも大事なものを守りに行くって出て行ったきり、姿を見せないのよ」

マスターは悲し気な表情でそう言いながら、写真を取り出す。
そこに映っていたのは、仲間達と楽しい様子で映っている茶髪の青年の姿。
サクラと夏海は写真を覗きこみ、マスターに訪ねてみた。

「この人がマスターの言っていた……」

「あの、お尋ねしますがこの人の名前はなんて言うんですか」

夏海が青年の名前を伺うと、マスターはそれに対して笑顔を向けて答えた。
まるで昔の出来事を懐かしむように。


「―――紅渡、腕のいいバイオリン職人だよ」


……サクラと夏海、二人がいる喫茶店の時間は過ぎてゆく。
ひっそりと掲げられている看板には、こう書かれていた。
【カフェ・マルダムール】、と。


――――


同じ頃、士達男性陣達は羽根の手掛かりを探していた。
小狼・黒鋼・ファイの三人はこの街にいてもおかしくなく活動できる現代の服を買った後、それぞれ分かれて情報集めを行っていた。
やがて待ち合わせのビル近くにて佇んでいた士とユウスケは戻ってきた三人と合流する。

「遅かったな。三人とも」

「お待たせしました。士さん、ユウスケさん」

「で、どうだった?何か分かったか」

ユウスケが三人に訪ねてみると、三人のうち小狼が一歩前に出てきた。
その表情は明るくないまま、説明を始める。

「この世界……国で羽根に関する情報を集めていたんです。もしこの国に羽根があるなら、これまでは伝説や噂のように何かしらの手掛かりが掴めるんじゃないかと思って」

「でも残念ながら、それらしい情報は見つからなかったね。インターネットってやつや、図書館に行って調べたりしたのにね」

ファイは残念そうな仕草を見せつつ、小狼の言葉に付け加えた。
士は三人の結果に眉を顰め、溜息を付きながら呟いた。

「つまり手掛かりゼロって事か」

「だが、白饅頭によると羽根の波動はあるらしい。つまり、【誰かが手にしてる】んじゃないかと俺達は考えてる」

「なるほど、誰かが羽根を手に入れてそれを隠してるなら情報が出ないのもうなずけるな!」

黒鋼の言葉にユウスケは納得し、うんうんと頷く。

……実際、サクラの記憶の羽根が持つ力は凄まじく強く、過去にはそれを手にして悪
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