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ツバサ -DECADE CHRoNiCLE《ディケイドクロニクル》-
第4話:新たなニチジョウ
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【―――貴方に信頼と安心の美味しさを、SMART-BRAIN食品】
時刻は昼間、サクラは夏海に連れられて街へと繰り出していた。
街角の巨大モニターに宣伝で流れているCMを横目に、2人は目的地へ歩いていく。
「サクラちゃん、服屋行きましょう!ファッションです!」
「あの、夏海さん!いいのですか?私なんかのために?」
「大丈夫ですよ。実を言えば……じゃーん、士君からの臨時収入が入ったんです!」
夏海の手元には少し分厚い封筒が握られていた。
サクラが訪ねてみると、どうやら"この世界"に来る前の世界にて手に入れた物を換金していたものらしい。
胸を張りつつ笑顔の夏海は、サクラの手を引っ張り、ファッションショップへと向かおうとする。
「士君から言われたんです。『どうせあの黒服どもに怪しまれて目をつけられるよりはいいだろう。せいぜい可愛くしてやれ』って!」
「えぇ、でもそんな悪いですよ!」
「いいからいいから、レッツゴー!!」
サクラは夏海に連れられて、とあるファッションショップへと訪れ、暫しの着替えを楽しむ。
ミニスカート、和風の服、派手なパンツルック、白いワンピース……そうして夏海がサクラに似合う服を買っていく。
やがて遊び疲れた2人は近くにとある喫茶店に辿り着いた。
中に入ると、そこは落ち着いた内装といくつもの絵皿が飾られた壁、そしてカウンター席の向こう側で珈琲を入れる作業をしている眼鏡のかけた壮年の男性のいる光景だった。
マスターと思わしき眼鏡をかけた男性は、二人に気が付くと声をかけてくる。
「いらっしゃい。今すいてるから、どうぞ好きな席に座って」
「はい、お邪魔します」
マスターの男性にサクラが答えて、カウンター席に座る。
メニューを差し出され、中身を開いた夏海はサクラと相談して注文を決めた。
「ご注文は?」
「カフェオレ二つでお願いします」
「ふふっ、かしこまりました」
サクラは物珍しいそうに店内を見回す。壁には1986年から2009年まで飾られた22枚にも及ぶ絵皿があり、この店が相当長くやっていると察した。
ふとカウンター席の奥の壁に設けられた犬小屋に目がつくと、その中からごそごそと何かが這い出てくる。
出てきたのは金色の体毛を持つ大型犬と小さな子犬だ。彼ら二匹のラブラドール・レトリバーは鼻を鳴らしながらサクラの方へ近づき、彼女へすり寄ってくる。
「わぁ、可愛い」
「あらあら、ブルマンとジュニアが懐くなんて。その子達親子そろって警戒心強いのに」
「そうなんですか?マスターさん」
「うん、彼女で三人目かなー。珍しい事もあるね」
マスターはブルマンと呼ばれた親犬と触れ合うサクラを見て、夏海に教えてくれた。
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