第三章
[8]前話
「それでお父さんにも言うから」
「絶縁ね」
「この人達には何も言わないけれど」
当人達にはというのだ。
「本気で許せないから」
「もうご近所でなの」
「そう、もう絶縁で町内会とかでもね」
「お付き合いなくすの」
「皆で無視よ、大事なことも何も教えないから」
そうしたこともするというのだ。
「ふわりちゃんを何だと思ってるのよ」
「そうよね、けれど」
娘は母の言葉を聞いてから言った。
「ふわりちゃんどうなるの？」
「保健所に捨てられたからね」
「本当に殺処分されるわよね」
「そうなるわよ」
実際にとだ、母は娘に強張り曇った顔で答えた。
「冗談抜きでね、しかも飼育権放棄されたから何時どうなるか」
「百田さん達もそうなっていいとか言ってたし」
「その言葉も許せないけれど兎に角ふわりちゃんね」
「どうしようかしら」
「うちもうミカがいるけれど」
「ニャア」
白猫自分達の家族である雌猫の鳴き声も聞きつつ言った、猫はリビングのソファーの上で丸くなっている。
「保護するボランティアの人知ってるから」
「その人達になのね」
「ええ、連絡して助けてもらうわ」
「ふわりちゃん助かるのね」
「ええ、けれどあの人達は絶対に許さないから」
ふわりの元の飼い主達はというのだ。
「こんな人達とは思わなかったけれどね」
「私もよ」
「わかったから」
どういった人間性かというのだ。
「絶縁よ、あんたも挨拶したら駄目よ」
「もうしないわよ」
娘も答えた。
「大嫌いになったから」
「そうしなさい、お母さんもそうするし」
「ええ、じゃあね」
「ふわりちゃんのこと連絡するわ」
こう言ってだった。
母はすぐに知り合いの動物保護のボランティアの人にふわりのことを話して父にも近所の人達にも話した、こうして百田家の夫婦は近所の嫌われ者になった。
だがふわりのことはというと。
「もう前の飼い主の親戚の人がお話を聞いて」
「それでなの」
「保健所に駆け込んでね」
そうしてというのだ。
「ふわりちゃん引き取ったそうよ」
「そう、あの娘助かったのね」
「そうなったわ」
「それはよかったわ、じゃあね」
「ええ、このことはよかったわ」
ふわりのことにはほっとした、だが前の飼い主の夫婦は絶対に許さないことは何があろうと変わらなかった。
喫茶店での愚かな会話が 完
２０２１・５・２８
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