艦娘と提督とスイーツと・67
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たが、ありゃちょっとしたヤキモチだ。アレはアレでちゃんと理解しててもどうにもならない嫉妬心をぶつけて来るだけで、頭では理解してはいる。
「そっかぁ、えへへ////」
プリンツは顔を赤らめて照れ臭そうに頬を掻いている。その左手には、普段は手袋をしてるくせに、今日は薬指にシルバーのリングが光っている。
「だから、俺は遠慮なく飲ませてもらう」
戸棚の奥から引っ張り出したのは、毎年漬けている梅酒だ。酒の種類や氷砂糖を黒糖に変えたりして、毎年かなりの量を漬けているが一年経つ頃にはほとんどが飲み干されている。その中から少しずつ保存して長期熟成させている俺のコレクションから、15年寝かせた奴をチョイス。梅の実も半分溶けてドロリとしているが、それがまた若い梅酒と違う味わいを醸し出してて美味いんだよなこれが。そいつをグミと氷の入ったグラスに注ぎ、次いで炭酸で割る。指を突っ込んで軽くかき混ぜたら、指を舐めて味見。うむ、ちと濃い気もするがこんなもんだろう。そのままグラスを口へ運び、グビリグビリと喉を鳴らす。
「っかぁ〜!昼酒って奴ぁ堪えられん甘露だなぁ」
「お行儀悪いんだぁ」
「ば〜か、堅っ苦しい店で飲むわけでもあるまいし。野郎の独り呑みなんてのぁこの位適当でいいんだよ」
「独りじゃないですよぅ、私がいるじゃない……」
ぶすっと唇を尖らせるプリンツに、デコピンを喰らわせる。
「あいたぁ!何するの、おでこ凹んじゃうでしょ!?」
「アホはお前だ、今日は午後から演習だって言ってたじゃねぇか」
「そうよプリンツ!」
気の強そうな叫びと共に、執務室のドアが勢いよく開け放たれる。そこにいたのは……
「ビス子!?」
「ビスマルク姉様!?」
そこに立っていたのはビス子ことビスマルク。何故だか腕組みをして仁王立ちしている。
「何でここにビスマルク姉様が?」
「今日の演習の旗艦は私よ!貴女が来ないから探して回ってたの」
「あ、ホントだ!」
時間を見ればもうすぐ15:00。午後の演習の時間だ。
「ほれ、さっさと行け」
「うん、行ってきま〜す!」
プリンツほ皿の上にあったグミを口に全部押し込み、頬をリスのように膨らませて立ち上がった。
「んんんんんん〜んん、んんんんんんんん!」
「何言ってるか解んないわよ!」
バタバタと走っていく2人を眺めながら、梅酒を啜る。
「忙しない奴らめ……」
さて、店を開けるまで2時間ある。俺はソファに横になりウトウトとし始める。たまにはこんな休みも悪くない。
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