第二章
[8]前話
「達者でな」
「この中で幸せに暮らせよ」
「僕達はずっとここにいるからな」
「また会う時があるさ」
「ガウ」
シルガは二人に名残惜しそうな顔を向けた、だが野生で生まれ野生に戻る為に育てられたせいかだった。
そのまま野生の中に戻った、二人はその彼女を見送ってこれでよかったと心から思って笑顔になった。だが。
一年後だった、二人はシルガを放った場所に向かった、グリューナーはジープを運転しながら助手席にいるレガートに話した。
「シルガ元気かな」
「GPSみたら群れの中に入って幸せに暮らしているみたいだけれどね」
「この目でどうか見たいな」
「会えたらいいね」
「そうだよな」
二人でこうした話をしながらその場所に入った、そうして。
シルガのいる場所に入るとだった、ライオン達の群れからだった。
一匹の雌ライオンがやって来てだった、二人のところに喉を鳴らして来て鳴いてきた。
「ガウ」
「シルガ、来てくれたのか」
「僕達にわざわざ会いに」
「元気そうだな」
「毛並みもいいし動きもいい」
「そうであって何よりだよ」
「本当によかったよ」
二人はシルガの元気な様子に笑顔になった、そして。
自分達にじゃれついた彼女を抱き締めて撫でたりしてあやした、彼女が子供だった時にそうした様に一緒に遊んだ。
他のライオン達は穏やかな顔で彼等を見ていた、腹が満ちているライオンは襲わないししかも保護施設にいる人間達が自分達に何もしないので安心しているのだ。
二人はシルガと心ゆくまで遊んだ、そして時間になったので別の場所に向かう為にジープに戻った、そのうえでシルガに一時の別れの挨拶を告げた。
「また会おうな」
「そうしような」
「僕達はまたここに来るから」
「その時を楽しみにしておいてくれよ」
「ガウ」
シルガは彼等に明るい声で応えた、そして二人が去るのを見送った。
二人はそんな彼女と手を振って別れた、そのうえでまたここに来ようと二人で話した。
優しい二人とライオンの絆 完
2021・5・26
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