第七百十七話 エチゼンクラゲ
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第七百十七話 エチゼンクラゲ
「ねーーねーー日本」
イタリアが上手にスープの中にある白くて透明なものを箸に取って日本に見せながら尋ねます。
「このスープの中にあった透明なものは何なの?」
「あーーー、それはですね」
ここで隣にたまたまいた中国をちらちらと見ながらイタリアに答えます。
「エチゼンクラゲですよ」
「何で僕を見ながら言うあるか!」
「いえ、何となく」
そこはあえて答えないのが日本流です。けれど視線の先でわかってしまうのであまり意味はありません。本当に日本流はこうした時に便利です。
イタリアはその中でまだ食べ続けています。今度は羊羹を食べています。
「じゃあさ」
「はい」
また同じような言葉のやり取りが行われます。
「この羊羹の中の白いつぶつぶは何なの?」
「ああ、それもですね」
また中国の方を見るのでした。
「まあ何といいますか」
「また僕あるか」
「意外と食べたら美味しいのが驚きですが」
実はエチゼンクラゲは食べたら美味しかったのです。
「最初大量に出て来た時はどうしようかと思いました」
「とりあえず気にするなよろし」
さりげなく自分のことは誤魔化す中国でした。何はともあれクラゲが食べられてそれが幸いでした。
第七百十七話 完
2009・5・3
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