芸術は爆発だ
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すると、鳥の胴体は中心より大きく破裂。起爆ではなく、友奈の力起因の爆発を起こし、消え去った。
「チッ……」
飛び降りた起爆男は、友奈と美森を睨み、唇を噛んだ。
「無駄な邪魔が入ったな。……うん」
爆発男はしばらく友奈たちを睨み、ため息をついた。
「止めだ止めだ。真の芸術家は、可能な限り多くの作品を世に残す。また今度、改めて相手してやっからよ。……うん」
彼はそう言って、友奈たちに背を向けた。
去る気配を察した友奈は、「待って!」と呼び止める。
「貴方も……サーヴァントなんでしょ? 戦うのは、願いがあるからなの? だったら、戦うのはもうやめようよ! さっきみたいに、人にあんなことをして……」
「ああ?」
爆発男は友奈を睨んだ。
「悪いが、オイラはただオイラの芸術のために戦っているだけだ。この世界はまだまだ新しい刺激が転がってるからな。……うん」
彼はそう言って、友奈の静止も聞かず、ジャンプで遺跡内をジグザグに進み、やがて通路から去っていった。
友奈はそれを見送り、変身を解除。美森に向き直る。
すでに美森は変身を解除し、その病弱な体を車椅子に預けている。彼女は悲しそうな眼差しで友奈を見上げていた。
「友奈ちゃん……」
「東郷さん……会いたかった」
「私もよ」
美森は笑む。
友奈は顔を反らすことなく頷いた。
「うん。私もだよ」
例え彼女が自分の記憶から再現された存在でも関係ない。友奈はそのまま美森に歩み寄った。
「ねえ、東郷さん……少し、いい?」
「ええ。もちろんよ」
美森の許可を得て、友奈は美森の車椅子を押した。彼女の重さが腕にしっくり来た。
「……ねえ、友奈ちゃん」
「何?」
「……一緒に、この大陸に住まない?」
友奈の足が止まった。
「東郷さん」
「ほら、あのバングレイって人、そんなに悪い人じゃないわよ?」
美森は首をこちらに回した。
「ほら、ここだったら、広いし私達二人だけの世界だってできる。だから」
「ダメだよ……東郷さん」
友奈は首を振った。
「今、地上は大変なことになってるんだよ……。このムー大陸を止めないと、皆が大変なことになる。だから、バングレイを止めないと」
「どうして?」
美森が、車椅子を操作して友奈と向き直った。彼女の目にはハイライトが抜けており、じっと友奈を見つめていた。
「また、知らない人たちのため?」
「そうだよ」
「……友奈ちゃんは、私よりも知らない人たちの方が大事なの?」
「違うよ! 私は、東郷さんのことは好きだよ。大好きだよ! 前の世界でも、今でも、これからもずっと!」
それは、友奈の本心からの叫びだった
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