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雲は遠くて
183章 日本の 雅(みやび)は世界の文化のモデルになると信也は思う
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(かしこ)い人は 手を出さない相手です。
純粋さと (おろ)かさは 紙一重、業平は 紙一重を生きて、結果は オーライで、
最後は自分の人生に満足して死にました。
彼の幸せの理由のひとつは、女性を信じることができたことにあります。
女性を信じられるから、自分の人生を歌を、一人(ひとり)の女性に
(ゆだ)(あず)けることができました。
それが『伊勢 物語』を世に残した、と 私は考えます。」

 信也は、『貴種流離』を、ネットで調べると、こうあった。
「 高貴な 生まれの人が、青年期に達してから 肉親と別れ 辺境を さすらう。」

 信也は、(みやび)という 日本の 伝統的な 価値観に 感動した。

 その理由の1つには、大脳生理学の研究をする
大島 清・京都大学 名誉 教授の 本の 影響も あった。

 大島 教授は「現代社会の行きづまりは、男性の脳の 限界でもある 」と 警鐘を鳴らす。

 彼の 著書『女の脳・男の脳』では、男女の脳の違いを、こう 語る。

「女性が 大脳辺縁系を 満足させなければ 我慢ができないのに対し、
男性は 大脳辺縁系の部分の不満を 新皮質でカバーできると 述べたが、
これは どういうことか もう少し 深く 観察してみよう。

もちろん、男性にも生理的欲求や 安全の欲求、あるいは所属と愛の欲求がある。
男性も セックスを強く望むし、自ら 安全でいたいと思う。これは自明のことである。

しかし、男性はそれ以上に 新皮質の部分での 承認の欲求や 自己実現の欲求が強い。
大脳辺縁系の不満にあえて目をつぶっても、新皮質の満足に賭けずにいられない。

たとえば家庭にあって、妻は家庭の幸福を願い、家庭の平和(安全)と
自身の精神的『愛と性の充足(じゅうぞく)』を求める。
これに対し、夫は社会という戦場のなかで奮闘し、『他者からの評価』を求め、
『自己実現』を めざす。そのためには、家庭の平和(安全)や
性の充足は、結局、二義的な 問題になってしまう。

つまり、女性の場合は、生理的 欲求 → 安全 欲求 → 愛の 欲求 といった 形で
脳の 指令が 働いて行く。
いい()えれば、大脳辺縁系 → 新皮質の 順で ボトムアップ的に
行動するのに対し、
男性の場合は、新皮質 → 大脳辺縁系 といった 形、つまり、
トップダウン的に 行動することが 往々(おうおう)にしてあるということである。

いわゆる 家庭の 崩壊 現象は、男性と女性の対立、相克(そこく)から
出発するのが 一般的だが、これは 男性と女性が 宿命的に内包する難問であり、
構造的な差、つまり『大脳の指令の方向性が逆』だということに起因するといえる。」

そして、大島清・
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