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『外伝:青』崩壊した世界に来たけど僕はここでもお栄ちゃんにいじめられる
マスター様とお兄様の間で揺れる海月の話
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ちゃんは頑なに海に入ろうとしないしいくら説得しても遠慮して水着に着替えようともしなかった。
なので
「じゃーん。どう?」
「す、すごいですねお兄様…!芸術センス高めです…!歓喜のあまり咲いちゃいそうですよぉ…!」
砂でお城とかそういったものを作って遊ぶことにした。
折角二人だけなのだし、ここは思い切って大作を作ろうとしたら思った以上に入れ込んでしまい、中々の砂の城が完成した。
今度アビーが来た時も、こうして遊ぼうかな…。
と思ったけど…
「アビーもユゥユゥも…どうしたんだろう…。」
ある疑問が浮かぶ。
こうしてゴッホちゃんに夢の中で会うようになってから、2人の姿を見ていない。
夢の中だけじゃない、現実でもこののところ姿を見ていないんだ。
こうしてしばらく会わない日々が続くと、逆に恋しくなっちゃうな…。
元気かな…2人とも…。
「お兄様…?」
「あ、うん?どうしたの?」
「いえ、何か難しい顔をされていたので…も、もしかしてゴッホが何かお気に障るようなことを…!」
「う、ううん!違うよ!ただちょっと考え事してただけ。」
とりあえず気を取り直して砂の城の仕上げにかかる。
これが出来たら絵に描いて残しておこう。
そう思ったけど、
「…。」
「な、何かゴッホの顔についてます…?」
完成した砂の城を描いている僕の横で、ゴッホちゃんはニコニコして僕が描いているところを見ている。
不思議だ。とても不思議なんだ。
出会った時から思っていたけども、どうしてゴッホちゃんは絵を描かないのだろうって。
そしてその疑問は、
次の日に明かされる。
「お兄様は本当に絵がお上手ですね…。」
「ゴッホちゃん程じゃないよ。」
「い、いえいえ…ゴッホなんか全然…。」
いつものようにご飯を食べたあと、ひまわり畑で絵を描く僕。
そしていつものように、隣でニコニコしながら見ているゴッホちゃん。
そこで僕はとうとう気になり、聞いてみることにした。
「ねぇ、ゴッホちゃん。」
「なんでしょうか…お兄様。」
「どうして絵を描かないの?」
こうして夢で会う度、変わりゆく景色を描いていく。
僕は何枚も描いたけれど、ゴッホちゃんが絵を描いている姿を一度も見た事がなかった。
「もしかして…生前の事もあって絵が嫌いになったとか?」
「あ、あの…いえ!そういうことではなく…。ゴッホはその…なんと言いますか…。」
「?」
きょろきょろ忙しなく動く両目。
オロオロして、過呼吸になるゴッホちゃん。
心配そうに見ていると急にハッとし、答えた。
「そ、そうなんです!実はゴッホの霊基に異常があるみたいでして!絵に関する技術が全て欠落しているんです!」
「…。」
「はは…
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