第二章
[8]前話
「少なくとも僕にはね」
「そうよね、それはね」
ドルジャカも頷いた、タイ南部のクラビにあるパノムベンチャ国立公園の周りでのことだ。やがて旱魃は終わった。
そして二人はインド南部に旅行に出たが。
そこのある村に来た時だった。
村にキングコブラが出た、そのコブラは三メートルあった。ドルジャカはその大きなコブラを見て言った。
「キングコブラよね」
「近寄ったら駄目だよ」
彼はこう言った。
「絶対にね」
「とんでもなく強い毒があるから」
「しかも身体も大きいしね」
このこともあってというのだ。
「毒の量も多いから」
「噛まれたら危ないわね」
「象ですら死ぬから」
それでというのだ。
「近寄ったら駄目だよ」
「そうするわ」
「うん、ただね」
そのコブラを見てだた。ネナドはこうも言った。
「あのコブラも。前のホソツラナメラと同じだね」
「脱水症状なの」
「だから弱っているね」
そうなっているというのだ。
「どうやらね」
「そうなのね」
「だからね」
それでというのだ。
「近寄ったら駄目だけれど」
「弱っていることは確かね」
「そうだよ」
コブラを見ながら話した、二人はコブラには近寄らなかったが村人達はコブラが弱っていると見てだった。
「ナーガだしな」
「ここは助けてやるか」
「蛇も神様の使いだからな」
こう話してだった。
村人の一人がコブラに後ろから近付いて尻尾を掴み動けなくさせて。
もう一人がペットボトルを出して水を飲ませた、すると。
コブラはペットボトルの水を全て飲んだ、そうしてだった。
村人達はペットボトルの水がなくなるとコブラから離れた、するとコブラは何処かへと去った。それを見てだった。
ネナドはドルジャカに語った。
「あれは僕でもね」
「出来ないわね」
「毒があるからね」
キングコブラにはというのだ。
「だからね」
「やっぱりそうよね」
「あれは出来ないよ」
とてもというのだ。
「いや、凄いものを見たね」
「そうね、ああしたやり方もあるのね」
「そうだね、そして毒蛇でも助ける」
「この村の人達は立派ね」
「頭が下がるよ」
心から言う彼だった、そして村の食堂に入ってカリーを食べた。二人はその時も蛇のことを話した。それは不思議と楽しいものだった。
水を飲む蛇 完
2021・5・24
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