第二章
[8]前話
「森の中に栗鼠を追い掛けてですか」
「いなくなったんだ」
「名前はティーズル、コッカーズバニエルとテリアのハーフの黒い犬で雌だよ」
「クレアさんの家の犬だよ」
「これから失踪した森の中に入って探そう」
「わかりました」
この時も一も二もなくだった。
エイミーは捜索活動に参加した、そしてだった。
森の中を飼い主の一家と共に探した、一家は彼女が失踪した日夜の十時まで捜したというが見付からずエイミが所属する団体に依頼してきたのだ。それでエイミーはこの時一家の息子のジャック、くすんだ茶色髪と淡い緑の目を持つ少年の彼と一緒に森の中を捜していたが。
不意に彼が大きな木の根の方を見てエイミーに言った。
「あそこに何か見えません?」
「あれは」
見ればそれは。
二つの目だった、暗闇の中にその目達が見えた。
二人はその目が何かと気になって傍に寄ると。
「クゥ〜〜〜ン・・・・・・」
「ティーズル!?暗い中で暗い毛だからわからなかったよ」
ジャックは驚いた声で言った。
「こんなところにいたんだ」
「では今から」
「はい、助けましょう」
ティーズル、彼をというのだ。
こう話してだ、そのうえで。
彼を助けようとしたがここでだった。
「木が硬い」
「人の手では無理だ」
「根が邪魔なのに」
「これをどけるのが」
「それをどうするか」
「一体どうすべきか」
スタッフ達は話した、それで。
鋸を持って来てだ、それでだった。
根を切ってだった、穴のィ入り口を大きくしてだった。
ティーズルを救出した、一家は彼を抱き締めて喜んだが。
「いや、まさか」
「木の根の穴の中に入っていて」
「それで見付からなかったんだ」
「けれど見付かってよかった」
「助けられて」
見ればティーズルは尻尾を振って喜んでいた、その彼を見てだった。エイミーは同僚達に笑って話した。
「よかったですね」
「全くですね」
「ティーズルが見付かって」
「そして助かって」
「本当によかったです」
「そう思います、それでは」
そしてとだ、エイミーは言うのだった。
「帰りましょう」
「ええ、無事に終わりました」
「それならです」
「帰りましょう」
「そうしましょう」
家族の再会を見つつ彼等と共に森を後にした、愛犬が見付かった森はもう憂いはなくなっていた。そこにあるのは喜びだけになっていた。
森の中に消えた犬達 完
2021・5・24
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