第一章
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駅で待つ猫達
オランダアムステルダムに住むアイザック=オルクセンは仕事の合間に世界各地を旅行して楽しんでいる、二メートル近い長身と丸眼鏡をかけた青い目に清潔に刈った金髪にすらりとした長身を持っている、その彼が。
自国オランダロッテルダムのクラーリンゲン内に旅行に行った時に黒と白の八割れの大きな猫が路面電車の駅でじっとしているのを見て言った。
「駅猫かな」
「ああ、その子は駅にはいないよ」
駅で待っていた客が言ってきた。
「飼い主を待っているんだよ」
「飼い主を?」
「そうだよ」
客はオルクセンに話した。
「アケっていって、雌でな」
「名前まで知ってるんだな」
「ああ、有名だからな。フェイスブックでページまであるぜ」
それまであるというのだ。
「ファンが作ってな」
「へえ、そうなのか」
「それでこの駅で飼い主さんが会社に行ったらな」
「ここで待ってか」
「じっとしてるんだ、寝たりトイレをしながらな」
「そうしてか」
「待ってるさ、そろそろ飼い主さんが帰って来るぜ」
客がこう言うとだ、路面電車が停車し。
そこから若いスーツの男が出て来るとアケは立ち上がって鳴いた。
「ニャア」
「飼い主さんが来たな」
「ああ、あの人だよ」
客はその話かいスーツの男を見てオルクセンに話した。
「帰って来たよ」
「じゃあ後はあの人と一緒に帰るんだな」
「そうさ」
こう話した、そしてだった。
オルクセンは旅で面白いものを見たとツイッターやブログで紹介した、この時の旅行はアケのことが一番の思い出だった。
そしてロシアのベルゴルドに行った時だった。
居酒屋で知り合った色素が薄い自分並の背で筋骨隆々の岩の様な顔の男にグレーの大きな猫を見せられて言われた。
「俺はオスタブ=ザドゥナイスキーここで風呂屋をやってるんだ」
「ロシアだからサウナだな」
「ああ、繁盛してるぜ」
オルクセンにウォッカを飲みつつ話した。
「お陰様でな」
「それは何よりだな」
「ああ、それでこいつはウラジっていうな」
「ニャア」
猫はテーブルの上に座って鳴いた、ザドゥナイスキーはその猫を見つつ話した。
「雄だよ、元は飼い主がいたんだ」
「そうなのか」
「しかし前の飼い主は無責任な奴でな」
ザドゥナイスキーは怒って言った。
「こいつを放って引っ越したんだ」
「家族なのにか」
「ああ、そうしたんだよ」
「ロシアにもそんな奴がいるんだな」
「ロシアの恥だ、それでそいつはその恥を信じていてな」
オルクセンにウラジを撫でながら話した。
「一年以上前いた部屋があったマンションの前のマンホールの上にじっとしていてな」
「そうしてか」
「前の飼い主を待っていたんだよ」
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