第二章
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「そうなって」
「俺もそう思うよ、これでな」
「安心出来るな」
「気付いたらな」
サイモンは笑顔でこうも言った。
「俺達だけじゃないな」
「ああ、人気が出てな」
「釣りしている人も見て」
「わざわざユディット観に来る人も出て来たな」
「今じゃ人気者だよ」
「あれだな」
ルーシェンはそのユディットを見ながらこうも言った。
「童話の」
「醜い家鴨の子か」
「あれとは別だけれどな」
「今じゃ幸せだな」
「寂しかった白鳥がな」
ユディット、彼女がというのだ。
「今じゃな」
「それ言うと同じだな」
サイモンはルーシェンの言葉に笑顔で頷いた。
「確かに」
「そうだよな」
「そう思うといいな」
「そうだな、じゃあこれからもな」
「あの娘観ていくか」
「幸せなあの娘をな」
「そうしていこうな、そして」
サイモンはさらに言った。
「家に帰ったらな」
「ああ、その時はな」
「ジークフリートと一緒にいような」
「あいつも白鳥だしな」
「外で白鳥を見てな」
「家でも白鳥を見て」
「そうしていこうな」
こう言うのだった。
「これからも」
「そうしような」
「じゃあ今日はジークフリートにおやつ飼って帰るか」
サイモンはここで彼のそれがなくなってきていることを思い出してそれでルーシェンに対して提案した。
「そうするか」
「そうだな、もうなくなってきてるしな」
ルーシェンもそのことを知っていてこう応えた。
「そうしていこうな」
「ああ、じゃあ行こうな」
「ガア」
ユディットの幸せな姿を見てからそれぞれの仕事場に向かった、そして帰りにジークフリートにご飯の後でおやつを出すと。
「ガアガア」
「うちの子も嬉しそうだな」
「ああ、そうで何よりだよ」
二人でそんな彼を見て笑顔になった、それぞれの白鳥達の幸せそうな姿を見られて何よりだと思って。
孤独な白鳥 完
2021・5・22
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