暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
G編
第81話:それぞれの帰還
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けどな?」

 若干の苛立ちを見せながら言う颯人だったが、ウィズはそんなの何処吹く風と己のペースを維持し続けた。

「端的に言おう。少しの間私は戦闘に出れそうにない」
「はっ!?」

 ウィズの口から出たまさかの言葉に、颯人は信じられないと言った顔をした。彼が知る限り、ウィズは最も強い魔法使いだ。その彼が今後しばらく戦闘で頼りに出来ないとなると、いざと言う時厳しい状況になる可能性があった。
 彼に頼るのは正直癪だが、頼りたいと思わせるだけの実力が彼にはあったのだ。

「その代わり、お前にはこれを渡しておく」

 言葉を失った颯人に、ウィズは懐から取り出した2つの指輪を渡した。一つは右手で扱う魔法を発動する為の指輪。そしてもう一つは、フレイムドラゴンと同様の造形をした、しかし色はランドのそれの指輪だった。

 それがどんな指輪なのかは、考えるまでも無かった。

「こいつは……」
「次の指輪も今大至急作っている所だ。出来次第お前に渡す」
「……ジェネシスが大きく動くのか?」

 ウィズがここまで戦力増強を急ぐという事は、つまりそう言う事だろう。ジェネシスが、ワイズマンが大きく動くのが予想されたのだ。

 颯人の言葉にウィズは神妙な様子で頷いた。

 頷いたウィズを見て、颯人は再び渡された指輪の1つ――ランドドラゴンウィザードリングを眺めた。

 照明の明かりに照らされ輝く指輪の装飾。普通に見ればただ美しいその輝きが、今は何処か不吉なものを感じさせる光に見えた。
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