四十八 葬儀のあとで、
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素振りを見せるも、疲労の色が濃い部下達の顔色に思い直したのか、木ノ葉隠れ暗部の拷問・尋問部隊隊長──森乃イビキは「悪いな」と軽く謝罪する。
「奴は鬼人と名高い忍びだ。重々気をつけろよ」
「はい」
部下達と共に出て行ったイビキと入れ替わりに入ってきた忍び。
幸の薄そうな男だ。
気絶したふりをしていた百地再不斬は、無防備に自身へ近づく忍びを怪訝に思う。
『暁』と交戦し、木ノ葉の里に拘束され、現在尋問を受けている身。
霧隠れの鬼人と評される己に対して、聊か無防備すぎやしないだろうか。
警戒心が微塵も見えない相手を、再不斬は気を失ったふりをしながら、慎重に窺う。
ひょろひょろとして生気のない顔だが、なんとなく懐かしい気配を覚えた。
「…もういいですよ」
イビキ達の気配が遠ざかったのを見計らったように、その忍びが再不斬へ囁く。
監視を任せられたにもかかわらず話しかけてくる男に、伏せた顔を歪めた再不斬は、まるで今日の空模様を語るかのような気軽さで掛けられた言葉に、顔を上げた。
「ナルトくんはお元気ですか?」
気絶しているふりを看破しただけでなく、ナルトの名まで出した忍びの顔を再不斬はまじまじと見遣る。
やがて、彼はふん、と鼻を鳴らした。
「一度、嗅いだことのある匂いだな」
イビキ達、忍びを遠ざけ、監視しに来たという体で自身に接触してきた忍びの顔は見覚えがない。
けれど、その温厚な顔の裏に秘めている何かを、再不斬はどことなく感じ取った。
「俺と同じ野心の匂いだ」
霧隠れの鬼人の言葉に、イビキと入れ違いに再不斬の監視をしに現れた忍びは、一瞬、眼をぱちくりとさせた。
ややあって、まるで久しぶりの再会を喜ぶかのように、瞳を細める。
霧隠れの鬼人を前にして、月光ハヤテは口角を吊り上げた。
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