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渦巻く滄海 紅き空 【下】
四十八 葬儀のあとで、
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「なんでだってばよ?あ。それとも、」

いきなり項垂れた彼に、ナルは不思議そうに首を傾げる。

「ご飯にする?お風呂にする?それともオレにする?のほうがよかったってば?」
「ごふ…っ」


今度こそ、シカマルは思いっきり咳き込んだ。
暫し、沈黙するシカマルの背に「シカマル〜?どうしたってばよ?」というナルの呑気な声が届く。

「……それ、誰に教授された…?」
「きょーじゅ?」


なんとか問い返したシカマルに、ナルがきょとんと眼を瞬かせる。


「エロ仙人が言ってきたんだけど…男が喜ぶ魔法の言葉だって」
(三忍って……)


伝説の三忍と呼ばれるもエロ仙人と称される自来也を思い浮かべ、シカマルは空を仰いだ。


「まぁオレだって、ご飯かお風呂か修行かって聞かれたら、嬉しーけどなっ」
「あ──…お前ならそう言うだろーな…」



オレにする=修行するという意味で考えているナルに、シカマルは苦笑を返した。
直後、ナルが弾かれたように肩を跳ね上げる。

「あっ、やべッ」



彼女の視線の先を追えば、ヤマトが額に青筋を立てて、此方へ向かってきている。
「修行を影分身に任せて本人はいないってどういう了見だい!?」と非難めいた声を上げながら屋根から屋根へ跳躍してくるヤマトを見て、ナルはあちゃ〜っといった表情で頭を掻いた。

「もうバレちまったか…」
「ナル、おまえ…」



修行中にもかかわらず、シカマルを捜しに来てくれたのが影分身でもシカマルは嬉しかった。
けれど、ナル本人だと知って、軽く眼を見張ったシカマルに対し、ナルは気まずげに視線を彷徨わせる。

以前、アスマへ“風”のチャクラ性質のことを聞きに来た時でさえ、影分身だったのだ。
一分一秒も惜しいとばかりに修行に打ち込むナルが、その時と同じように影分身を寄越すこともできただろうに、そうしなかったと悟って、顔が自然と熱を帯びた。


ナル自身さえ、アスマとは先日会ったばかり。
“風”の性質変化のコツを教えてほしい、と頼んだ矢先の死は、彼女にも多大な衝撃を齎しただろう。

けれど、シカマルのほうを案じて、なによりも優先する修行を放って、ナル自身が会いに来てくれた。
それが理解できないシカマルではない。


案の定、本人がいないと知って、怒り心頭で彼女を捜しに来たヤマトに、ナルは説教されている。
謝りながら、修行に戻ろうとするナルへ、シカマルは急ぎ、感謝の言葉を投げた。




「ありがとな、ナル」


くるっと振り返ったナルがシカマルを見つめる。
そうして、なんでもないように、にしし、と笑った。



「オレってば、な─んにもしてないってばよっ」



その太陽のよ
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